セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P503 診断に苦慮した消化管重複症の1例

演者 熊谷好晃(直方中央病院消化器科)
共同演者 田畑寿彦(直方中央病院消化器科), 小野洋(直方中央病院外科), 松本哲平(直方中央病院外科), 浦岡尚平(直方中央病院消化器科), 松本主之(九州大学大学院病態機能内科学), 飯田三雄(九州大学大学院病態機能内科学)
抄録 症例は67歳男性。2006年12月初旬から下血を認め近医受診し大腸内視鏡検査造影検査にて回盲部に腫瘤を認め精査加療目的で2007年1月4日当院紹介入院となった.入院時は右下腹部に圧痛を認めたが腫瘤は蝕些しなかった入院後の大腸内視鏡検査で上行結腸に分葉状の比較的柔らかい4cm大の粘膜下腫瘍様の腫瘤を認めた.その口写に5~6cmの比較的硬い棍棒状の隆起性病変を認め一部びらんを芽存在し白苔が付着していた.生検では硬い隆起性病変部分に肉芽組織壊死物質を伴う炎症を認めたが悪性所見は認めなかった.逆行性大腸造影検査でも同様にバウヒン弁近傍に分葉性の隆起性病変を認めた.腹部CTでは造影にて増強される上行結腸の壁肥厚肛門側でのtarget signを認め腸重積が疑われた.バウヒン弁付近の腫瘤による腸重積の診断で1月18日に右半結腸切除を行われ手術時には回盲部に腫瘤を認め炎症性に周囲に癒着している印象だった.肉眼所見ではバウヒン弁より約5cm口側の上行結腸に正常粘膜で覆われた6.0×2.Ocmの棍棒状隆起性病変とその肛門側に数個の柔らかい粘膜下腫瘍を認めた.また棍棒状隆起の頂部から終末回腸に交通するトンネル状の構造物を認めた.病理診断では肛門側の分葉性の柔らかい粘膜下腫瘍がLipomaであり表面に一部びらんを認めた.口側の硬い棍棒状隆起の頂部から終末回腸にかけてのトンネル状の構造物は小腸粘膜で裏打ちされており周囲に憩室膿瘍を認めた.憩室と思われる部分以外は固有筋層が認められ消化管重複症と考えられた消化管重複症は消化管に隣接する構造物で平滑筋層を有し内腔は消化管粘膜で裏打ちされた先天性奇形である.比較的まれな疾患であり若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語