セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P522 進行肝細胞癌に対する新規抗体治療

演者 佐々木茂(札幌医科大学内科学第一講座)
共同演者 石田禎夫(札幌医科大学内科学第一講座), 五十嵐麻衣(札幌医科大学内科学第一講座), 安井寛(札幌医科大学内科学第一講座), 高木秀安(札幌医科大学内科学第一講座), 阿久津典之(札幌医科大学内科学第一講座), 大橋広和(札幌医科大学内科学第一講座), 大関令奈(札幌医科大学内科学第一講座), 山本博幸(札幌医科大学内科学第一講座), 篠村恭久(札幌医科大学内科学第一講座), 今井浩三(札幌医科大学)
抄録 内科および外科治療の著しい進歩によって肝細胞がんに対する局所制御能は格段の進歩を示し単発かつ腫瘍径の小さい早期の肝細胞がんで肝予備能力が高く維持されている場合予後も非常に改善されてきている.しかしながら進行した肝細胞がんにおいては十分な予後の改善が得られていないのが現状である.この進行肝細胞がんの予後の改善が十分でない理由として多中心性発がん肝内転移門脈浸潤といった肝細胞がんの特徴があげられる.このような多中心性発がん肝内転移門脈浸潤を生じている場合多くはすでに肝予備能力の著しい低下が認められこのような場合がんに対する治療が困難な症例もよく経験される.治療の選択および成否について肝予備能力が大きな比重を占めていることも周知の事実である.このような背景から肝細胞がんの治療を行うには肝予備能力にさらに影響を与えず強力な抗がん効果を発揮する理想的な薬剤の開発が急がれる.われわれのこれまでの研究からサイトカインXにより肝がん細胞において抗原Bが過剰発現されることをすでに見出している.この抗原Bは非がん肝細胞にはほとんど発現されていないことまたこの抗原Bを介した刺激は細胞増殖および細胞浸潤さらに血管新生に関与していることも報告されている.このような点からわれわれはこの抗原Bに対するモノクローナル抗体を作成した.肝がん細胞にサイトカインXを投与し抗原Bを過剰発現させ抗Bモノクローナル抗体を投与したところ著明な抗がん効果が認められた.進行肝細胞がんに対する新規抗体治療の試みを述べたい.
索引用語