| セッション情報 | 一般演題(ポスター) |
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| タイトル | P536 胃に穿破したアメーバ性肝膿瘍の1例 |
| 演者 | 荒川和久(群馬大学大学院臓器病態外科学) |
| 共同演者 | 川手進(群馬大学大学院臓器病態外科学), 須納瀬豊(群馬大学大学院臓器病態外科学), 吉成大介(群馬大学大学院臓器病態外科学), 小川博臣(群馬大学大学院臓器病態外科学), 竹吉泉(群馬大学大学院臓器病態外科学) |
| 抄録 | 症例は26歳男性平成19年4月上旬より心窩部痛が出現し同時期より発熱も認めるようになったため5月上旬近医を受診した.消化管内視鏡検査腹部CT検査を施行し上部消化管内視鏡検査で胃体部小轡に壁外性の圧排所見があり腹部CT検査で肝外側区に尾側に突出する8×6cmの腫瘤を認めた.肝腫瘍疑いで精査加療目的で当科に紹介となった.血液検査にて白血球数の増加CRPの上昇があり近医でのCT検査では嚢胞性腫瘤であったため肝膿瘍を疑ったが膵臓との境界も不明瞭で仮性膵嚢胞の可能性も考えられたのでドレナージは行わず更に精査をすすめた.MRI検査では胃粘膜下腫瘍も疑われたため再度上部消化管内視鏡検査を施行した.胃体上部から角部の小包に巨大な粘膜下の隆起があり胃小鈴に長軸方向に3か所の潰瘍性病変があった.内部からは乳白色の膿汁が流出しており膿瘍の穿破と判断した.穿破部より生検鉗子を挿入すると約10cm入った.鉗子があたったところで生検を施行し膿汁を培養検査と細胞診に提出した生検と細胞診よりアメーバ虫体が確認された.血清赤痢アメーバ抗体価は1600倍であった.アメーバ性肝膿瘍の診断でメトロニダゾール2250mg/日で治療を開始した.内服開始3日目には心窩部痛はなくなり38度前後あった体温も解熱し血液検査でも炎症反応は改善した.メトロニダゾールは2250mg/日を1週間1500mg/日を1週間内服した、内服開始3週間後の腹部CT検査で膿瘍は著明に縮小し内視鏡検査で穿破部は搬痕になっていた.4か月後の腹部CT検査で膿瘍はわずかなlow density areaを残すのみで再発は認めていない.アメーバ性腸炎に関しては前医での精査中に下部消化管内視鏡検査を施行したが疹痛のため横行結腸までの観察にとどまり異常所見は認められなかった.経過中に典型的な腸炎の症状はなかったが当院精査中のFDG-PET検査で回盲部への著明集積があり回盲部のアメーバ性腸炎と考えられた.今回我々は3か所で胃に穿製したアメーバ性肝膿瘍の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する. |
| 索引用語 |