セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P540 経皮的内瘻化術により治癒した肝癌治療後難治性肝膿瘍の1例

演者 前田浩輝(和歌山県立医科大学第二内科)
共同演者 玉井秀幸(和歌山県立医科大学第二内科), 上田和樹(和歌山県立医科大学第二内科), 新垣直樹(和歌山県立医科大学第二内科), 白木達也(和歌山県立医科大学第二内科), 井上泉(和歌山県立医科大学第二内科), 柳岡公彦(和歌山県立医科大学第二内科), 有井研司(和歌山県立医科大学第二内科), 岡政志(和歌山県立医科大学第二内科), 一瀬雅夫(和歌山県立医科大学第二内科)
抄録 症例は79歳C型肝硬変の男性.肝S5に径10mm大の肝細胞癌を指摘され受診腫瘍は小さいtOfAFP 89.lng/m1PIVKA-II 102mAU/mlとマーカーが高値であったためTACEを先行しRFAを追加した30日後に発熱右季肋部痛出現腹部造影CTで肝S5に治療と異なる部位に約30mm大の肝膿瘍を認めた.膿瘍ドレナージを施行膿性胆汁を排出した.スルペラゾン4g/日の高用量:投与を行い炎症反応も沈静化したためドレナージチューブを抜去した.しかしll日後に肝膿瘍が再発し再び膿癌ドレナージを施行.感染胆汁の培養検査では多剤耐性Enterococcus faeciumが検出された.ミノマイシン200mg/日の投与と膿瘍の洗浄を約1ヶ月間行ったが菌は消失せず治癒に至らなかった.ドレナージチューブからの造影で膿瘍と胆管の交通がみられ胆管狭窄が認められたため狭窄部を胆管バルーンで拡張し経劇的に総胆管内へ7Fr内外痩チューブを挿入した内洋化術後ようやく炎症反応が陰性化したため10Fr内外痩チューブを留置し退院した.チューブを月1回交換し閉塞によるトラブルはなかった.6ヶ月後の造影にて胆管狭窄の改善が認められチューブを抜去したその後肝膿瘍の再発なく経過良好である【考察】本例はTACERFA後の胆管損傷による胆汁うっ滞に感染し発症した難治性肝膿瘍の症例である.多剤耐性菌が起炎菌であったためだけでなく胆汁うっ滞を伴うため外痩による膿瘍ドレナージだけでは治癒が困難であった.しかし塩瀬化することにより胆汁うっ滞が解消され膿瘍が治癒したと考えられる.また内外痩チューブの長期留置により胆管狭窄が治癒したためその後の再発もないのであろう.胆管損傷は肝細胞癌の治療に伴う遅発性合併症であるが感染を伴うと膿瘍化し難治性となるため内痩化術は極めて有効な治療法であると思われる.
索引用語