セッション情報 |
パネルディスカッション22(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
PEGの適応と安全管理
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タイトル |
消PD22-3:経皮内視鏡的胃瘻造設術の早期死亡例についての検討
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演者 |
檜山 雄一(国立呉医療センター・中国がんセンター消化器科) |
共同演者 |
桑井 寿雄(国立呉医療センター・中国がんセンター消化器科), 高野 弘嗣(国立呉医療センター・中国がんセンター消化器科) |
抄録 |
【目的】当院における経皮内視鏡的胃瘻造設術 (以下PEG) の術後早期死亡例についての検討を行った.【方法】症例は2008年4月から2012年1月の間に当院でPEGを施行した患者のうち,臨床データが確かな543例を対象とした.当院ではセルジンガー法で造設しており,全例が経腸栄養目的に施行されていた.術後30日以内を早期死亡例とし,患者背景としての年齢,性別,基礎疾患,術前1週間以内の血液検査値との関連性について統計学的検討を行った.【結果】PEGに至った主な基礎疾患は,脳血管疾患176例 (32%),肺炎88例 (16%),悪性疾患38例 (6.9%),神経変性疾患25例 (4.6%),蘇生後脳症22例 (4.0%),頭部外傷17例 (3.1%),心不全21例 (3.8%),認知症19例 (3.4%),統合失調症16例 (2.9%)であった.PEGによる早期合併症は出血13例 (2.4%),創部周囲感染症11例 (2.0%),肺炎7例 (1.2%),腹膜炎1例 (0.2%) であった.腹膜炎を起こした症例は緊急手術となったが,明らかな他臓器誤穿刺は認めなかった.30日以内の早期死亡例は29例 (5.3%)であり,主な死因は肺炎が10例 (34%),癌死5例 (17%),心血管疾患4例 (14%) で,PEGが直接的な死因と考えられる症例は,術翌日に肺炎が増悪した1例のみであった.患者背景の予後因子に関する単変量解析では,CRP高値 (p<0.0001),尿素窒素高値 (p<0.0001),アルブミン低値 (p<0.01),ヘモグロビン低値 (p<0.01),白血球数高値 (p<0.01) で有意に早期死亡例が増加していた.また多変量解析では,CRP (p<0.0001) と尿素窒素 (p<0.05) が独立した因子として早期死亡率との強い相関を示した.【考察】術前のCRPや尿素窒素の値は予後因子として有用であり,PEGの適応には炎症反応や腎機能を考慮し,是正した後に造設することが望ましいと考えられた. |
索引用語 |
PEG, 予後因子 |