セッション情報 パネルディスカッション22(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

PEGの適応と安全管理

タイトル 内PD22-5:

超高齢者に対する安全なPEG適応について

演者 木暮 道夫(池袋病院・総合診療科DELIMITER池袋病院・外科)
共同演者 杉山 政則(杏林大・外科), 井手 博子(梅田病院・外科)
抄録 はじめに: PEGは安全な手技として定着した。 しかし、超高齢者の場合は、造設後早期に亡くなられるケースもあり、これがPEG造設への批判の一因と考えられる。PEG造設の条件のひとつが、生命予後が一ヶ月以上あり、その間経腸栄養が可能であること、つまり、超高齢者の場合も1カ月はPEGが使えることを造設前に確認することが重要である。具体的には、1.超高齢者が経腸栄養を受け入れられる状態であること、2.造設時において炎症反応のない状態であること、3.造設後に新たな炎症を発生する可能性が低いこと、を確認する必要がある。目的:超高齢者のPEG造設において、上記の条件を満たすことが、術後早期死亡を減少させるのに有効であったかを検討する。対象:85歳以上を超高齢者とし、造設30日以内死亡を早期死亡例とし、平成17年から23年までに造設した超高齢者PEG症例147例について検討した。PEG不能例は22例(拒否を除く)であった。腸瘻は24例に造設された。方法:平成17年~20年の症例を集計し、各条件に対して、1.疑わしい症例には経鼻経管栄養を試み,不適応例を選別する、2.少なくとも術前3日間は発熱がない症例に造設する、3.食道逆流の可能性の高い症例には腸瘻造設を選択する、という基準を設定した。結果:平成20年までの造設例80例、死亡例12例(うち食道逆流6例、造設前発熱8例)、非造設例11例、腸瘻13例であった。21年は同29例、2例(1例、0例)、10例、6例であった。一方22年は同27例、7例(2例、4例)、1例、5例であった。23年は造設例6例で他は0例であった。平成21年に造設の選別を行ったところ、早期死亡例が激減した。考察:平成20年までの集計で、超高齢者の早期死亡率は15%、PEG造設率は88%、腸瘻の比率は14%であった。平成21年は同7%、74%、17%、平成22年は同26%、96%、16%であった。超高齢者においては、症例の選別の有無がそのまま死亡率に直結していた。有炎症例、消化管機能低下例をPEG不適例とすることが大切である。
索引用語 超高齢者, PEG