セッション情報 パネルディスカッション22(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

PEGの適応と安全管理

タイトル 内PD22-8:

胃瘻造設例の体位変換による瘻孔長の増大:バンパー埋没症候群の原因として

演者 寺田 昌弘(横浜南共済病院・消化器内科)
共同演者 洲崎 文男(横浜南共済病院・消化器内科), 岡崎 博(横浜南共済病院・消化器内科)
抄録 【目的】胃瘻カテーテル・ボタンが腹壁に埋没、逸脱するバンパ-埋没症候群は主に固定が強すぎることで徐々にバンパ-が埋没し生じるとされている。われわれは、坐位への体位変換に伴ってバンパー埋没症候群を呈した3症例を経験したが、体位変換に伴う瘻孔長の増大が原因として疑われた。そこで体位変換が腹壁厚に及ぼす影響を検討し報告するとともに、自験例を呈示する。【方法】1.健常者18名を対象として仰臥位、坐位、前屈位で腹壁厚を腹部超音波により評価した。胃の前壁から体表までの厚さを測定し、体重、BMIとの関係を検討した。2.胃瘻カテ-テル留置中の15例を対象として臥位、半坐位、坐位で瘻孔長を測定した。カテ-テルの固定を緩めて各体位でカテーテルの目盛り位置を記録した。【成績】仰臥位から坐位にすることで、健常者、胃瘻留置例の全例で腹壁厚が増大した。健常者では腹壁厚は仰臥位、坐位、前屈位でそれぞれ平均18 mm、25 mm、29mmで(P<0.01)、体重、BMIとの相関係数はそれぞれ0.96、0.81であった。胃瘻留置例の瘻孔長は臥位、半座位、前屈位でそれぞれ 平均 27mm、36mm、42mm(P<0.01)でBMIとの相関係数は0.56であった。症例呈示.症例1.透視下に胃瘻ボタンの交換を行ったが、帰宅後バンパ-の腹腔内逸脱が判明した。移動の際に前屈位としていた。症例2.胃瘻カテ-テルを留置中、病棟で前屈位を取ったところカテーテルが腹腔内へ逸脱した。症例3.胃瘻カテ-テルを留置中、病棟で坐位としたところバンパ-が腹壁に埋没した。【結論】胃瘻造設例では体位変換に伴い瘻孔長が増大することでバンパ-の埋没・逸脱を来すと考えられた。坐位をとる機会がある症例では、臥位において少なくとも1cmの余裕を持って胃瘻チューブ・ボタンを固定すべきである。また胃瘻造設直後は余裕を持った固定が難しいため体位変換には細心の注意を要するものと考える。
索引用語 胃瘻, バンパー埋没症候群