セッション情報 パネルディスカッション22(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

PEGの適応と安全管理

タイトル 内PD22-9:

PEG造設後に経口摂取が可能となった症例の検討―院内外の言語聴覚士と連携して―

演者 水野 秀城(市立富山市民病院・消化器内科)
共同演者 蓑内 慶次(市立富山市民病院・消化器内科), 樋上 義伸(市立富山市民病院・消化器内科)
抄録 【目的】当院では、経口摂取開始前に嚥下機能評価を行い、経口摂取が困難と判断された患者に言語聴覚士(ST)による摂食・嚥下訓練を行う。しかし、嚥下機能の回復に至らず、経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)を行う患者が多い。そこで、PEG前後にSTが介入することで嚥下機能の回復した患者を評価し、PEGの適切な条件について模索した。【方法】2009年1月から2011年12月までに当院でPEGを行った368症例のうち、入院中および転院後にSTによる摂食・嚥下訓練を行った99例を対象とした。経口摂取が可能となった33例を成功群、不可能であった66例を不成功群の2群に分け、症例背景について比較検討を行った。【結果】平均年齢は成功群80.9歳、不成功群80.9歳。男性は成功群17例、不成功群37例で有意差はなかった。入院時の平均リハビリ期間は成功群1.69カ月、不成功群1.72カ月で有意差はなかった。STによるリハビリの時期は、成功群でPEG前が18例、PEG後が1例、PEG前後両方が14例であった。不成功群では順に18例、4例、44例で両群に有意差はなかった。転院先34施設中、STが在籍しているのは6施設で、転院先でもSTによる摂食・嚥下訓練が継続されたは症例は成功群12例、不成功群10例で、成功群に有意に多かった(p=0.008)。PEGを行った症例のうち、脳卒中で脳神経外科もしくは神経内科に入院となった症例は成功例18例、不成功例24例で、成功例に有意に多かった(p=0.033)。基礎疾患に肺炎を合併した症例は成功例9例、不成功例29例で不成功例に多い傾向を示した(p=0.055)。内科症例は慢性疾患や廃用症候群が多く、リハビリに難渋する傾向があった。PEG後の合併症(出血、感染症、肺炎、腹膜炎)に有意差はなかった。【考察】脳卒中症例は、PEG前後にSTによる摂食・嚥下訓練を積極的に行うことで嚥下機能が回復する可能性が高く、PEGの積極的な適応であると考えられた。
索引用語 胃瘻, 言語聴覚士