セッション情報 パネルディスカッション22(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

PEGの適応と安全管理

タイトル 消PD22-10:

ALS患者に対する安全なPEG造設―経鼻用細経内視鏡の経口的挿入かつ無鎮静PEG造設の試み―

演者 佐藤 祐一(新潟大・3内科)
共同演者 河内 裕介(新潟大医歯学総合病院・光学医療診療部), 小林 正明(新潟大医歯学総合病院・光学医療診療部)
抄録 【緒言】本邦や米国のALSガイドラインではPEG造設に関する言及がされている。しかし造設時には、呼吸状態の低下や、球麻痺による嚥下障害が進行していることも多く、鎮静剤による呼吸悪化・停止や誤嚥性肺炎などの合併症、あるいは、通常の経口内視鏡下では、咽頭部の苦痛や、咽頭麻酔等での唾液誤嚥等も懸念される。経鼻内視鏡下PEG造設も検討されているが、鼻出血や、経鼻的酸素投与困難例も経験する。そこで我々は2009年より、ALS患者へのPEG造設は、1)経鼻用細径内視鏡を経口的に使用、2)神経内科主治医が許可した場合のみ鎮静可、の条件下に施行している。今回、それ以前の鎮静下通常経口内視鏡使用でのALS患者へのPEG造設と比較して、その安全性について検討を行った。【方法】2003年より当科でPEG造設を行ったALS患者48名を対象とし、1)鎮静剤の有無、2)経口挿入での経鼻用細径内視鏡あるいは通常内視鏡か、により患者を分け、検討を行った。鎮静はミタゾラム5-20mgを使用した。【結果】鎮静あり/通常内視鏡群14例中3例が呼吸停止を来たし、1例は後日硬膜外麻酔下に造設した。術後肺炎例はなかった。鎮静なし/通常内視鏡群17例では、術中の呼吸低下・停止はなかったが、2例が誤嚥性肺炎を起こした。一方、細径内視鏡群17例(鎮静あり6例、鎮静なし11例)では、術中の呼吸停止・低下や誤嚥性肺炎の合併はなかった。血圧変動について、術中/術前比で20%以上上昇したのは、鎮静あり/通常内視鏡群14例中2例、鎮静なし/通常内視鏡群17例中3例、細径内視鏡群17例中1例(鎮静なし)であった。【結語】鎮静の有無に関わらず、経鼻用細経内視鏡の経口的挿入下のPEG造設は、鎮静下通常経口内視鏡使用のPEG造設に比し、非常に安全な手技であることが示唆された。しかし、鎮静がない場合、疼痛が原因と思われる血圧上昇がみられ、今後は鎮痛剤の使用方法に工夫が必要である。
索引用語 PEG, 細経内視鏡