セッション情報 パネルディスカッション22(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

PEGの適応と安全管理

タイトル 内PD22-11:

細径内視鏡を用いた経胃瘻内視鏡観察によるPEGの安全管理の検討

演者 今枝 博之(埼玉医大・総合診療内科DELIMITER慶應義塾大・内視鏡センター)
共同演者 細江 直樹(慶應義塾大・内視鏡センター), 日比 紀文(慶應義塾大・消化器内科)
抄録 【目的】経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)後に上部消化管内視鏡検査を定期的に施行することはまれで、検査にある程度の苦痛を伴い、前処置の時間も要し、誤嚥の危険性も伴う。今回、胃瘻カテーテル交換時の胃瘻部位から細径内視鏡による内視鏡観察および交換後にPEGスコープによる確認の有用性について検討した。【対象と方法】以前にPEGを施行され、胃瘻部位に16Fr以上のボタンやチューブが留置され、交換を予定していた患者57例104回を対象とした。ボタンやチューブを抜去後に細径内視鏡を胃瘻部位より挿入して、胃、十二指腸と逆行性に食道を観察した。また、交換後にPEGスコープ(HOYA)を胃瘻チューブより挿入して、チューブが胃内に挿入されていることの確認を26例32回で施行した。【成績】細径内視鏡による十二指腸の観察を55例(96.4 %)で施行しえた。スコープが留置されていない状態での食道胃接合部を胃側から観察し、49例(86.0 %)で食道に逆行性に挿入して観察することが可能であった。また、スコープの反転操作により53例(93.40%)において胃内の瘻孔部位を観察しえた。平均観察時間は4.7分で、患者の苦痛はみられなかった。交換前に黒色便を認めた1例で早期胃癌を認め、食道癌放射線化学療法後の再発を2例に認め、うち表在型食道癌の1例で後日ESDを施行しえた。また、胃ポリープ2例、十二指腸ポリープ2例、胃瘻部位の肉芽2例、逆流性食道炎1例、胃潰瘍瘢痕1例、十二指腸潰瘍瘢痕1例を認めた。胃瘻チューブを交換後にPEGスコープをチューブより挿入し、チューブが胃内に挿入されていることを26例全例で確認しえた。全例で苦痛はみられず、偶発症もいずれも認めなかった。【結語】胃瘻部位から細径内視鏡により上部消化管を観察することは簡便で患者の苦痛なく、定期的な上部消化管内視鏡検査も可能と考えられた。また、PEGスコープにより胃瘻チューブの確実な交換を確認することにより安全管理に有用であった。
索引用語 PEG, 細径内視鏡