抄録 |
【目的】PEG術後の早期死亡の危険因子や予後につき解析し,また化学療法併用放射線治療(CCRT)を行う頭頚部癌患者の補助治療としてのPEGの有用性(適応)についても検討した.【方法】2002年9月~2011年12月の間に術後30日以上経過観察し得たPEG造設237例(男159例,女78例,平均年齢66.7歳)を対象とした.術後早期死亡(術後30日以内)に関与する要因として術前の併存疾患,血液検査所見などについて,単変量解析を行い,有意確率のある項目につきロジスティック回帰分析を行い独立した危険因子を決定した. 術後の予後に関しては,血清Alb値を2.5g/dl未満と以上の2群に分けて,累積生存率をカプランマイヤー法にて検討した.また,頭頚部癌初回治療(CCRT)前または開始1週以内に行った造設群35例と非造設群21例の2群で,背景因子,治療前後での体重,血清Alb値,治療完遂率,治療休止率,総治療期間についても比較検討した.【結果】術後早期死亡を5.5%に認めた.単変量解析では,CRP 高値,白血球数 高値,Hb低値,Alb低値,Tcho低値,Cre高値が,術後早期死亡に有意に関与していた.多変量解析では白血球数高値だけが危険因子として選択された. 術前のAlbが2.5g/dl以上の症例では未満群に比し,累積生存率は有意に高かった(p<0.05).CCRT前造設群の偶発症として治療に支障を来たす有害事象は認めず,治療開始後91%の患者が経口摂取困難となりPEGからの栄養管理を行った.造設群は,非造設群に比し治療後の体重減少およびAlbの低下が有意(p<0.05)に低率で,CCRT休止率が低い傾向にあった.造設群は,全例で治療を完遂(非造設群は95.2%)できた.造設群(45.7日)は非造設群(49.1日)に比し,総治療期間は有意(p<0.05)に短かった. 【結語】術前白血球数 高値例においてはPEGの適応について慎重に判断する必要性があると思われた.頭頚部癌患者のCCRT時におけるPEGは補助治療として有用であり,新たなPEGの適応となる可能性が示唆された. |