セッション情報 |
パネルディスカッション23(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
Colitic cancerのサーベイランスと治療
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タイトル |
消PD23-1:潰瘍性大腸炎に合併した大腸癌/dysplasiaの臨床的検討
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演者 |
松岡 克善(慶應義塾大・消化器内科) |
共同演者 |
岩男 泰(慶應義塾大・予防医療センター), 日比 紀文(慶應義塾大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】潰瘍性大腸炎(UC)の長期経過例に慢性炎症を母地とした大腸癌発生の頻度が高いことが知られている。UCに合併する大腸癌(UC associated colorectal cancer; UC-CRC)を早期に発見するために長期経過例を対象にsurveillance colonoscopyが行われているが、その有効性・実効性には疑問が多い。そこで、今回の検討では、より効率的なsurveillanceのために、UC-CRC/dysplasiaの臨床像を解析することにより、大腸癌合併の高リスク群を選別することを目的とした。【対象】当院で診療を行ったUC-CR 54症例、75病変である。【結果】UC-CRC/dysplasiaを合併した症例の平均罹病年数は13.0年であり、全大腸炎型と左側結腸炎型が98.1%を占めていた。UC-CRC/dysplasiaの発生部位は、71病変中直腸32病変、S状結腸25病変と遠位結腸に75.6%の病変が存在していた。次に過去の治療歴の詳細が検討可能であった32例においては、ステロイドは28例(87.5%)、免疫調節薬は14例(43.8%)、シクロスポリン・タクロリムス・インフリキシマブなどステロイド抵抗例に対する治療法は10例(31.3%)で、それぞれ使用歴があり、この治療歴からは難治例であることが推測された。最後に内視鏡的危険因子として、backwash ileitis(13.2%)、腸管の短縮(29.3%)、鉛管状化(51.2%)、潰瘍瘢痕(26.8%)、炎症性ポリープ(68.3%)、狭窄・狭小化(34.9%)などの所見を認めた。また、UC-CRC/dysplasiaと診断する以前の内視鏡像が検討可能であった24例においては全例でMatts’ grade 1以上の炎症が持続していた。【結語】UC-CRC/dysplasiaは、難治例で長期に炎症が持続していていると考えられる症例に発生していた。また、部位的には直腸・S状結腸に高頻度に病変を認めた。今後、surveillance colonoscopyの実効性を高めるために、内視鏡所見や臨床経過を加味した上で、高危険群や内視鏡間隔の設定、遠位大腸の重点的な観察などを行う必要があると考えられた。 |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, 大腸癌 |