セッション情報 パネルディスカッション23(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

Colitic cancerのサーベイランスと治療

タイトル 内PD23-2:

潰瘍性大腸炎関連colitic cancerのサーベイランスと治療法についての検討

演者 佐田 美和(北里大東病院・消化器内科)
共同演者 小林 清典(北里大東病院・消化器内科)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎(UC)関連腫瘍の至適なサーベイランス法や治療法を明らかにする。【方法】UC 関連colitic cancer(CC)およびdysplasiaを認めた45例・65病変を対象とした。UC関連腫瘍の臨床的特徴や内視鏡所見を明らかにし、サーベイランスの有無や検査間隔、治療法につき検討した。【成績】1)最初からCC診断:14例、dysplasia指摘後にCC診断:8例、dysplasiaのみ診断:23例であり、CC29病変、dysplasia36病変であった。全大腸炎型34例、左側大腸炎型11例であった。2)診断までの平均罹病期間はCC16.4±5.9(6-27)年、dysplasia12.0±8.0(1-32)年で、CC診断まで10年未満の4例は全て全大腸炎型で、慢性持続型や易再燃性、PSC合併などの危険因子を有していた。病変部位は直腸が65%を占め、4例では術後の残存直腸に癌が発生した。3)サーベイランスありのCC16病変中13病変は早期癌で、全て前回検査から2年以内だった。サーベイランスなしの13病変中9病変では進行癌で発見され、検査間隔は2.7-19.7年であった。4)肉眼型は早期癌92%とdysplasiaの75%は隆起型であった。発見の契機となった内視鏡所見は、限局した隆起や発赤、粘膜の凹凸不整、狭窄などであった。5)LGDの6例は経過観察で消失した。EMRは8例に行い、dysplasia4例とM癌1例では再発はなかったが、3例ではその後他部位に癌を認め手術を行った。CC手術19例中14例でCC周囲にdyplasiaが併存していた。HGD・CCで手術した3例では内視鏡検査で指摘された部位以外にもCCを認めた。【結論】UC関連CC・dysplasiaの早期発見のためには内視鏡によるサーベイランスが重要である。危険因子合併例では発病6年後からサーベイランスを開始し、1-2年毎の検査が必要と考える。UC関連腫瘍の発見には内視鏡所見での限局した隆起や発赤に着目することが重要で、色素内視鏡や拡大観察の併用が質的診断や標的生検に有用であった。内視鏡治療は限局した病変などに適応となりうるが、その後もCC発生リスクや、内視鏡検査で指摘できない病変があることから、厳重な経過観察が必要と考える。
索引用語 colitic cancer, 潰瘍性大腸炎