セッション情報 シンポジウム2(消化器病学会・肝臓学会合同)

C型肝炎治療の最前線

タイトル 肝S2-14追:

ITPA遺伝子型、CL/Fからみた三剤併用療法の貧血対策

演者 狩野 吉康(札幌厚生病院・3消化器科(肝臓科))
共同演者 小関 至(札幌厚生病院・3消化器科(肝臓科)), 豊田 成司(札幌厚生病院・3消化器科(肝臓科))
抄録 【目的】Ribavirin(RBV)とTelaprevir(TVR)誘起性の貧血はPEG-IFN/RBV/TVR三剤併用療法で最も頻度の高い副作用であり、薬剤の減量・中止に繋がり、治療効果を減弱させている。RBVの全身クリアランス(CL/F)およびITPA遺伝子型から三剤併用療法の貧血の対策を探る。【方法】PEG-IFN/RBV併用療法を施行したC型肝炎233例(ITPA: CC 179例、CA/AA 54例)(PEG/RBV群)と三剤併用療法を施行したC型肝炎17例(ITPA: CC 15例、CA 2例)(三剤群)を対象とした。PEG-IFNは1.5μg/kg/週、TVRは2250mg/日を投与、RBVはPEG/RBV群ではCL/Fベースで、三剤群は体重ベースで投与量を設定して投与した。【結果】PEG/RBV群の貧血(Hb値が4週以内に10g/dl以下へ低下)に関与する因子は、単変量解析ではITPA遺伝子、性別、治療前Hb値、血小板値、CL/F、多変量解析ではITPA遺伝子、性別、治療前Hb値が有意な因子であり、RBVの投与率はITPA CC 86.8%, CA/AA 94.7%とCCでRBVの減量が高度であった(P=0.0171)。ITPA遺伝子型をCCに層別化した検討では治療前Hb値とCL/Fが有意な因子であり、Hb10g/dl以下への低下はCL/F<12L/hrで 31.9%、≧12L/hrで 6.6%(P=0.0003)とCL/F低値例で高率であった。三剤群はCL/F12L/hr未満8例(CA 1例)、12以上9例(CA 1例)で、全例がHbの減少によりRBVを減量または中止し、5例でTVR投与を中止した。CL/F値別(12未満 / 12以上)のHbと薬剤アドヒアランスは12週Hb最低値(9.0 / 9.9)、ΔHb(4.5 / 4.3)、PEG-IFN投与率(73.7% / 92.8%)、RBV投与率(39.9% / 54.8%)、総RBV投与量mg/kg(338 / 467)(P=0.0273)、TVR投与率(91.2% / 95.1%)、総TVR投与量mg/kg(3090 / 2770)であった。CL/F低値例ではHb減少が高度で、TVR投与が低率にも拘わらず体重あたりの総TVR投与量が多く、一方RBVの総投与量は少ない傾向であった。【結語】PEG/RBV療法ではITPA遺伝子型CCではCL/Fが貧血に強く関与していた。三剤併用療法においてもCL/Fは貧血に関与しており、ITPA遺伝子型とCL/F値からのRBV、TVRの投与量を設定すべきである。
索引用語 ITPA, CL/F