セッション情報 パネルディスカッション23(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

Colitic cancerのサーベイランスと治療

タイトル 内PD23-4:

Colitic cancerおよびdysplasiaの内視鏡所見に関する検討

演者 丸山 尚子(藤田保健衛生大・消化管内科)
共同演者 平田 一郎(藤田保健衛生大・消化管内科), 渡邊 真(渡辺医院)
抄録 【背景】潰瘍性大腸炎(以下UC)に合併する大腸癌は、炎症を母地に発生し、その早期診断にはサーベイランス方法を含め課題が多い。近年の内視鏡機器の進歩により、粘膜表面や血管構造などを拡大観察することにより、早期診断への期待が高まっている。【目的・方法】当科で経験したcolitic cancer(以下CC)9例12病変(進行癌4例4病変、早期癌5例8病変)、dysplasia6例7病変の計19病変を対象とし、拡大観察(pit pattern、narrow band image以下NBI)を含めた内視鏡所見につき、検討した。 pit patternは工藤・鶴田分類を、NBI観察は佐野らのcapillary pattern分類(以下CP)を用いた。【結果】肉眼形態は、扁平隆起7病変、顆粒結節集簇7病変、有茎性隆起2病変、広基性隆起1病変、平坦2病変であった。病変の色調は全体の12病変(63%)で発赤、7病変(37%)で褪色であり、CCでは8病変(66%)は発赤であった。pit pattern観察では、CCの癌部ではVI型が6病変(50%)、IV型4病変(33%)が多く、進行癌の指標であるVN型は1病変(8%)と低率であった。CC周辺のdysplasia部では、縦毛構造を含むIV型とIIIL型であった。dysplasia7病変では、IV型が6病変(86%)と大部分を占めた。また、NBI観察を行ったCC5病変では、全例がCP-IIIAであり、dysplasia3病変ではCP-IIであった。【考察】CC、dysplasiaは通常の大腸腺腫・大腸癌と比較して早期診断は容易ではなく、深達度診断に難渋する症例が存在した。しかしながら、通常観察で発赤した病変で、pit patternのIV型・VI型、NBIのIIIAを呈するCC症例が多く存在し、診断に有用と考えられた。また、寛解期の粘膜では、背景の血管パターンの認識が容易となるため、NBI観察が有用と考えられた。【結語】C.C./dysplasiaは様々な肉眼形態を呈するが、周辺粘膜との違いを認識して、拡大観察を行うことが重要と考えられた。また、拡大観察においては通常の大腸癌より深い傾向にあり、診断の際には十分な注意を要すると考えられた。
索引用語 colitic cancer, 拡大内視鏡