セッション情報 |
パネルディスカッション23(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
Colitic cancerのサーベイランスと治療
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タイトル |
消PD23-5:潰瘍性大腸炎に合併する腫瘍性病変検出における5-Aminolevulinic acidを用いた蛍光内視鏡の有用性の検討
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演者 |
菰池 信彦(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科) |
共同演者 |
加藤 智弘(東京慈恵会医大・内視鏡科), 田尻 久雄(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科DELIMITER東京慈恵会医大・内視鏡科) |
抄録 |
【目的】潰瘍性大腸炎(UC)では、罹患期間に相関し発癌率が高くなることから、colitic cancerやdysplasiaの早期発見のための大腸内視鏡検査が重要である。しかし、通常の大腸癌の発生形態や肉眼型とは異なることが多く、通常光観察での検出は困難であり、画像強調観察など様々な内視鏡観察が試みられてきたが、いまだ有効な方法は確立されていない。5-Aminolevulinic acid (5-ALA)は体内にも存在するアミノ酸で腫瘍親和性をもつため、腫瘍細胞に選択的に取り込まれ、その代謝産物であるprotoporhyrin IX (PpIX)が蓄積される。PpIXが発する蛍光を蛍光内視鏡を用いて検出する光力学診断が可能である。UC長期罹患症例に対し、5-ALAを用いての腫瘍性病変検出の有用性について検討し、さらにマウス発癌モデルを用いて基礎検討も行った。【方法】本研究に同意を得た8年以上の罹患期間を有するUC患者9例に5-ALA 20mg/kgを経口投与し通常の前処置の後に、通常光観察と蛍光内視鏡観察で大腸内視鏡検査を行い腫瘍性病変検出につき、生検による病理組織学的検索をもとに検討した。基礎検討では、Adenomatous polyposis coli遺伝子ノックアウトマウスに2%のdextran sulfate sodium (DSS)を投与し作出したマウス発癌モデルに5-ALAを経口投与し、光イメージング装置による腫瘍の存在診断を行った。【成績】色素法を含め通常光観察では診断困難であったが、5-ALAを用いた蛍光内視鏡観察により腫瘍性病変が疑われたのは3症例で4病変あり、いずれもlow grade dysplasiaであった。また、5-ALAを投与した発癌モデルマウスでは、腫瘍性病変に一致して光イメージング装置で強い蛍光signalを検出可能であり、signalの性状はヒトでの内視鏡観察の蛍光signalの分布と一致していた。【結論】長期罹患UCに合併する腫瘍性病変のうち、通常光で検出しづらい腫瘍性病変の検出には、5-ALAを用いた蛍光内視鏡による光力学診断が有用である可能性が示唆された。 |
索引用語 |
colitic cancer, 蛍光内視鏡 |