セッション情報 パネルディスカッション23(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

Colitic cancerのサーベイランスと治療

タイトル 外PD23-6:

当科におけるUC関連大腸腫瘍に対する術式の検討

演者 内山 周一郎(宮崎大・腫瘍機能制御外科学)
共同演者 佛坂 正幸(潤和会記念病院・外科), 千々岩 一男(宮崎大・腫瘍機能制御外科学)
抄録 長期経過した潰瘍性大腸炎症例に発生した腫瘍性病変は早期発見と的確な診断が困難で治療に難渋することも少なくなく、病変の部位・進行度に応じた手術術式を検討する必要がある。潰瘍性大腸炎に合併した腫瘍性病変について解析し、手術時期・術式、予後について検討した。【対象】1978年から20012年3月までの潰瘍性大腸炎手術症例70例のうちでdysplasiaあるいはcolitic cancerを合併した12例を対象とした。【結果】男性10例,女性2例で平均年齢52.6歳(32-78歳)あった。平均病悩期間18.3年(7-35年)で3症例を除く9症例で年1回のサーベイランス大腸内視鏡検査を行っていた。組織診断はhigh dysplasia3例、colitic cancer9例であった。colitic cancer9例の組織型は分化型腺癌6例、印環細胞癌1例、粘液癌2例であった。colitic cancerと診断された9例のうち3例が早期癌、6例が進行癌で5例にリンパ節転移を認めた。12例のうちで初回手術を10例に施行し、大腸全摘術+回腸嚢肛門吻合術5例、腹会陰式直腸切断術5例で、半数に肛門温存手術を行っていた。2例は大腸亜全摘術後のサーベイランス中に残存直腸に発生した病変に対する腹会陰式直腸切断術症例であった。肛門温存症例5例のうち3例は上部直腸よりも口側に癌が存在しており、2例は下部直腸にdysplasiaが存在する症例であった。肛門温存症例5例のうち1例に進行癌を認めたが、いずれの症例も無再発で経過していた。深達度MPまでの6例はいずれも再発を認めていないが、SS以深の3例中2例は再発を認めており、いずれも腹会陰式直腸切断術後2ヵ月、15ヶ月後に癌死していた。【考察】癌と肛門との距離が十分離れている場合には肛門温存が可能である。今回の検討では再発を認めていないが、dysplasiaが下部直腸に存在する場合には肛門温存手術の適応に関して慎重に考慮する必要がある。大腸亜全摘後の症例においては残存大腸粘膜からの発癌に留意してサーベイランスを行っていく必要がある。
索引用語 潰瘍性大腸炎, colitic cancer