セッション情報 パネルディスカッション23(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

Colitic cancerのサーベイランスと治療

タイトル 外PD23-10:

クローン病発癌症例の現状と対策

演者 池内 浩基(兵庫医大・炎症性腸疾患センターDELIMITER兵庫医大・外科(下部消化管外科))
共同演者 内野 基(兵庫医大・炎症性腸疾患センターDELIMITER兵庫医大・外科(下部消化管外科)), 松岡 宏樹(兵庫医大・炎症性腸疾患センターDELIMITER兵庫医大・外科(下部消化管外科))
抄録 (目的)クローン病(以下CD)に合併する発癌症例の報告は増加している。そこで当科で経験したCDの発癌症例の現状と予後について検討した。(対象)対象は2012年1月までに当科で手術を行ったCD症例855例のうち癌の合併を認めた22例である。(結果)1.臨床的特徴:男性17例、女性5例、初発年齢は24.5(11-60)歳、初発から発癌までの期間は17(6-52)年であった。2.発症年:1999年以前;0例、2000-2005年;4例、2006年以降;18例と2006年以降急激な増加を示している。3.発症部位:内瘻部;3例、盲腸;1例、直腸;5例、肛門管(直腸型)5例、肛門管(痔瘻に合併)8例と直腸肛門管に18/22(82%)多数認めた。4.診断根拠となった検査:視診・触診;4例、術前内視鏡検査、および掻爬;10例、術中所見;2例、術後の病理検査;6例と、64%の症例は術前診断が可能であったが、27%の症例は術後の病理検査で診断がなされていた。MRIでは3症例にT2強調画像で粘液癌に特徴的なモザイク様の所見を認めている。瘻孔上皮の細胞診で癌の診断がなされた症例は1例である。5.組織型:粘液癌13例、高分化型腺癌:4例、中分化型腺癌:2例、低分化型腺癌:1例、印環細胞癌:2例と粘液癌が59%を占めた。6.治療:術前に診断が可能であった直腸肛門管癌の6例には術前放射線化学療法を併用した。1例は広範な痔瘻に癌の合併を認めたため、人工肛門造設術のみにとどめたが、それ以外の症例は、病変部位を切除した。(予後)無再発生存;9例、局所再発;2例、遠隔転移;1例、不変;1例、死亡;9例であるが、無再発生存例の6例は術後2年未満の症例で、経過観察期間が十分ではない。(結語)1.CDに合併する発癌症例は2006年以降急激な増加を示している。2.好発部位は直腸肛門管であり、診断にMRIが有効な症例もあるが早期診断は困難である。
索引用語 クローン病, 発癌