セッション情報 シンポジウム2(消化器病学会・肝臓学会合同)

C型肝炎治療の最前線

タイトル 肝S2-15追:

C型慢性肝炎に対する三剤併用療法の現状―多施設共同研究―

演者 宮坂 昭生(岩手医大・消化器・肝臓内科)
共同演者 滝川 康裕(岩手医大・消化器・肝臓内科), 鈴木 一幸(岩手医大・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】2011年11月よりペグインターフェロン(PEG-IFN)・リバビリン(RBV)・プロテアーゼ阻害薬による三剤併用療法がGenotype1高ウイルス量のC型慢性肝炎症例に対して治療適応となり、更なる著効率の向上が期待されている。今回、我々はGenotype1高ウイルス量のC型慢性肝炎症例に対する三剤併用療法の現状について検討した。【方法】現在、三剤併用療法を開始予定で登録した30例のうち12例(平均年齢57歳(47―65歳)、男性10例、女性2例)を対象としてHCV量の推移、副作用等について検討した。【結果】1) 患者背景:平均ALT値42IU/L、平均HCV RNA 6.7LogIU/mL、平均Hb値 14.7g/dl(12.2―16.8 g/dl)、平均血小板数21.2万/μlであった。初回治療例4例、前治療再燃例4例(PEG-IFN/RBV3例、IFN単独1例)、前治療無効例4例(PEG-IFN/RBV3例、IFN/RBV1例)。IL28B近傍遺伝子多型はTT 11例、TG/GG 1例で、core70アミノ酸変異は野生型が8例、変異型が4例であった。また、ITPA遺伝子多型はCC 9例、CA/AA 3例であった。2) ウイルス陰性化:4週以上経過した7例中7例でHCV RNAが陰性化した。7 例中3例は前治療再燃例、2例は前治療無効例であった。3) 貧血・血液障害:Hbの減少は1週後-0.3g/dl、2週後-1.6g/dl、3週後-2.5g/dl、4週後-2.8g/dlであった。投与開始時からプロテアーゼ阻害薬を減量投与した症例は2例、貧血の出現によりRBVを減量した症例は10例であった。血小板数の減少は1週後-5.5万/μl、2週後-4.3万/μl、3週後-4.6万/μl、4週後-4.6万/μlであった。1例好中球減少にて中止した。4)皮膚障害:12例中7例に皮膚障害が出現も認めた。限局性の皮膚障害が6例、体表面積の50%以下の皮膚障害が1例であった。いずれの症例も外用剤、抗アレルギー剤で軽快した。【結語】Genotype1高ウイルス量のC型慢性肝炎症例に対する三剤併用療法は治療効果が高いと考えられるが、適応症例を慎重に選び、副作用に注意しながら使用する必要があると思われた。
索引用語 HCV, 三剤併用療法