セッション情報 パネルディスカッション24(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

高度進行食道癌に対する治療戦略

タイトル 消PD24-2:

高度進行食道癌に対するDocetaxel/CDDP/5-FU/放射線同時併用療法(DCF-R)の治療成績

演者 樋口 勝彦(北里大・消化器内科)
共同演者 田辺 聡(北里大・消化器内科), 小泉 和三郎(北里大・消化器内科)
抄録 【目的】他臓器浸潤(T4)や遠隔リンパ節転移(M1 LYM)を伴う高度進行食道癌に対しては手術成績が不良であり,5-FU/CDDP(FP)による化学放射線療法が標準治療と考えられている。しかし,CR率は15-33%,MST 13月,3年生存率27%と報告されており,治療成績の向上には新たなレジメンの開発が必要である。Docetaxel(DTX)は放射線の増感作用を有し,化学放射線療法に併用することにより治療成績の向上が期待される。我々はUICC-TMN分類にてT4またはM1LYMを有する食道癌を対象にDTX/CDDP/5-FU/放射線同時併用療法(DCF-R)を行ってきた(Radiother Oncol 87:398-404,2008)。今回,T4/M1LYM食道癌に対するDCF-Rの治療成績を検討した。【対象】T4または放射線照射可能なM1LYMと診断された胸部食道癌患者でM1LYM以外の遠隔転移がなく,2011年4月までに初回治療としてDCF-Rを施行した57例を対象とした。患者背景は男/女:50/7,年齢中央値63歳(45-75歳),PS 0/1/2:25/29/3,TNM分類 T4M0/non-T4M1LYM/T4M1LYM:28/18/11例, 扁平上皮癌/腺癌:56/1であった。【方法】放射線照射50.4-61.2Gyと同時にDTX(Day1)/CDDP(Day1)/5-FU(Day1-5): 20-40/40/400mg/m2を2週毎に点滴静注した。当初,放射線総量は61.2Gyであったが,晩期毒性軽減を目的に途中で多門照射50.4Gyに改変した。同時に放射線期間中のDCFを4コースから3コースに改変した。CRT後はDTX(Day1)/CDDP(Day1)/5-FU(Day1-5):40/60/600mg/m2を4週毎に最低2コース施行した。【成績】放射線総量は61.2Gy/50.4Gy:34/23例、CR率は47.3%(27/57)でmedian PFSは10.9月,MSTは23.1月と良好であった。Grade 3以上の主な有害事象は好中球減少(59.6%),貧血(17.5%),発熱性好中球減少症(31.6%),食道炎(31.6%),食欲不振(31.6%)であった。Grade 3以上の晩期毒性として肺臓炎+胸水貯留/心嚢液貯留/食道炎:1/1/2例に認めた。【結論】本療法は血液毒性,食道炎等の有害事象が強く,その管理に注意を必要とするが,優れた有効性が示され,高度進行食道癌に対する有望な治療法と考えられた。
索引用語 食道癌, 化学放射線療法