セッション情報 パネルディスカッション24(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

高度進行食道癌に対する治療戦略

タイトル 外PD24-4:

局所進行食道癌に対する治療法の選択と導入化学療法の意義

演者 渡邊 雅之(熊本大・消化器外科)
共同演者 馬場 祥史(熊本大・消化器外科), 馬場 秀夫(熊本大・消化器外科)
抄録 【目的】局所進行食道癌に対する治療法の選択、特に食道切除の有用性と導入化学療法の意義を明らかにする。【対象および方法】2005年4月~2011年12月のT4またはT4疑い症例78例を対象とし治療法と予後について検討。治療方針は化学放射線療法(CRT)を基本とし、遺残・再燃例で切除可能であればサルベージ手術を施行。2008年4月以降、40Gy時に中間評価を行い腫瘍の遺残に対しては切除を施行。2008年8月以降リンパ節転移陽性例を対象とし、導入化学療法(ICT)としてDCF療法を施行。【結果】CRTは66例に施行し、うち根治CRT (dCRT)55例、術前CRT11例。ICT後のCRTは10例に施行。食道切除は41例に施行し、サルベージ18例、術前CRT 11例、ICT後切除12例。1.T4 vs. T4疑い:T4症例41例とT4疑い症例37例の予後に差を認めなかった。2.dCRTの効果と予後:CR、PR、SD/PD症例の3年生存率は71.4%、54.6%、14.3% (p=0.0008)。3.dCRTの併用薬剤と治療効果:FP-CRTのCRは33例中6例 (18.2%)に対してDCF-CRTのCRは20例中8例 (40%)であり、DCF併用の治療効果が有意に良好 (p=0.045)。4.dCRT後の経過と予後:CR維持11例の3生率100%に対してnon-CRでサルベージを施行できなかった26例は18.6%。サルベージ手術18例の3生率は45%。5.食道切除の意義:R0切除27例の1年、3年生存率は91.7%、55.1%でR1、2切除の42.9%、10.7%に比較して有意に良好(p<0.0001)。6.ICTの有無と予後:ICT施行例と非施行例の予後に差を認めなかった。7.ICTの効果とdCRTの治療効果:ICTにてPRの4例中2例がdCRTでCRとなったのに対し、ICTでSDの6例にはdCRTのCRは認めなかった。【結語】dCRTでCRが得られた症例の予後は良好であり、より高い治療効果を得るためにDCFの併用が有用と考えられた。ICT後、CRT中間評価、サルベージのいずれの時期であってもR0切除が施行できれば良好な予後が期待され、手術の有用性が示唆された。またICTの治療効果はdCRTの効果を予測する指標となる可能性があると考えられた。
索引用語 局所進行食道癌, 集学的治療