セッション情報 パネルディスカッション25(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

H. pylori 除菌後長期経過による内視鏡像の変化

タイトル PD25-基調講演:

H.pylori胃炎の病理組織像と除菌後の改善

演者 服部 隆則(滋賀医大・病理学)
共同演者
抄録 H.pyloriの持続感染で慢性胃炎がおこり、慢性胃炎が母地となり種々の胃疾患が発生する。H.pyloriを除菌することで疾患予防が可能となるが、診断学的に内視鏡像の変化を正確に理解することが重要である。本講演では、粘膜の肉眼像を裏付けている病理組織像について、H.pylori胃炎と除菌による変化について述べてみる。
H.pyloriによる慢性胃炎は小型円形細胞の浸潤で特徴づけられるが、活動性胃炎では多核白血球の浸潤が重なってくる。これらの細胞浸潤に浮腫が加わった状態が典型的なH.pylori胃炎像であるが、除菌すると細胞浸潤と浮腫状態がなくなり、粘膜の発赤と腫れが改善する。
慢性胃炎が持続すると萎縮に繋がると考えられているが、萎縮をどう定義するかについては意見が分かれるところである。本邦では、"腺管数の減少"と"粘膜固有層の線維化"などを萎縮とする研究者が多いが、欧米では、それに加え、腸上皮化生を萎縮とする人が多い。除菌すると炎症細胞浸潤と浮腫が無くなるので、腺管間の距離が短くなり、選管密度が高くなり、萎縮が改善したようにみえる。糜爛や潰瘍の修復に関連して、腺管が胃腺窩レベルで再生し増加することもあるが、これは一般的でない。一方、胃底腺や幽門腺細胞の産生は正常化する。
腸上皮化生の生理的・病理的な意義についてはよく分かっていないが、その病態の多彩性の故、"腸上皮化生学"のようなものが形成されている。腸上皮化生は完全型と不完全型に分けられるが、その発生と細胞動態から、完全型が除菌により元に戻るとは考えられない。一方、不完全型、それも胃腸混合型の腸上皮化生は腺頸部G-zoneにおける胃と腸2方向への分化発現であるので、除菌により腸方向への分化誘導が無くなり元に戻る、つまり、腸上皮化生が改善する可能性があると考えられよう。MALTomaも除菌により改善するが、本物の腫瘍として扱う病態をしっかり定義し、除菌しても不可逆的なpoint of no returnの病態が問題とされなければならないであろう。過形成性ポリープの病態は本質的にfoveolar hyperplasiaであるので、その発生要因が取り除かれれば元に戻りうると思われる。
索引用語 H.pylori除菌, 病理組織学的変化