セッション情報 パネルディスカッション25(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

H. pylori 除菌後長期経過による内視鏡像の変化

タイトル 内PD25-4:

HP除菌後10年以上観察例におけるHP胃炎後内視鏡像の検討および除菌直後と10年以上経過時点でのNBI拡大像の比較

演者 寺尾 秀一(加古川東市民病院・消化器内科)
共同演者 鈴木 志保(加古川東市民病院・消化器内科), 山城 研三(加古川東市民病院・消化器内科)
抄録 【目的】HP除菌によって短期的にはび慢性発赤(DE)と滲出液(EX)が全例で消失し点状発赤(SE)やヒダ肥厚(EF)も改善することが判明しているが、本検討ではHP除菌後長期の内視鏡像の変化を組織学的背景とNBI拡大観察像から考察する。【方法】1)2001年以前に2点生検(前庭部と体部大彎)施行→HP除菌→10年以上経過後に再度2点生検を施行した56例の対比。2)除菌3M後18例と除菌10年以上経過15例(除菌前NBI生検なし)とのNBI拡大観察の対比。【結果】1)DEは除菌直後に消失し背景粘膜は正色調or褪色調になり、発赤小陥凹(Dep)が顕在化した。DE消失後の粘膜色調とDepの多寡は、組織学的萎縮とIMの違いに対応していた。 EXは除菌直後に消失し、RACは非萎縮領域で復活する例が多くみられた。これらDE、発赤小陥凹、EX、RACの除菌直後の変化は長期経過後もほぼ不変であった。EFは縮小傾向であったが長期経過中に完全には正常化せず、SEは完全消失がある一方残存例もあった。内視鏡的萎縮境界は、(除菌直後→長期)進行13→0 不変23→54 改善0→1判定不能10→2であった。組織学的萎縮スコア(直後/長期)は前庭部1.2±1.81/ 1.5±0.84胃体大彎0.8±0.25/ 0.7±0.76、IMスコアは前庭部1.5±0.45/ 1.7±0.34胃体大彎0.5±0.65/ 0.3±0.89で有意な改善はなかった。(本検討の限界:胃体小彎の組織比較ができない点) 2)胃体部の除菌直後では、腺管開口部の円形化・White zone拡大明瞭化・粘膜下の可視血管面積の減少がみられ、非萎縮領域ではB-0もみられた。除菌長期例でも同様であった。前庭部除菌直後では粘膜模様の輪郭回復と胃小溝の縮小がみられたが、除菌長期例でも同様であった。【結論】除菌直後の変化は長期経過中にもほぼ安定化・固定化される可能性が高い。
索引用語 H.pylori除菌, 内視鏡