抄録 |
【目的】近年t本邦では胃食道逆流症(GERD)とともにパレット食道やパレット食道腺癌が増加傾向にある.しかしこれらの疾患の関連や疫学については不明な点も多い.そこでこれら疾患の疫学を後ろ向きに調査し臨床像を明らかにする【方法】2008年1月1日から2010年6月30日までの期間に倉敷GERD研究会に所属の13施設において上部消化管内視鏡検査を施行し内視鏡治療症例を除いた88工99例(男性48548例女性39651例平均年齢62歳)を対象とした.検討項目は対象期間中に発見された1.パレット食道(以下LSBE)症例2.食道胃接合部腺癌(パレット食道腺癌を含む)症例および3.各症例の臨床像としたパレット食道腺癌は食道胃接合部腺癌として集計しSiewert分類を用いて検討した.【結果】L検査件数8&199例中LSBEは13例(0.014%)認め全例男性で平均年齢は64歳だった.食道裂孔ヘルニアを53.8%(7/13)に認めたが胃体部萎縮を認めたのは15.4%(2/13)だった.2食道胃接合部腺癌は56例(0.063%)認め男女比は47:9、平均年齢は68歳だった. Siewert分類別では. type l(distal esophagus)が1例type∬(true cardia>が44例type M(subcardial)が11例だったうち表在癌は375%(21/56)だった.3.type I+II(n=45)とtype皿(n=11)の臨床像について比較検討すると食道裂孔ヘルニア(33.3%:0%)と胃体部萎縮(33.3%:72.7%)については統計学的に有意差(Fisher’s test:p〈0.05)を認めたが年齢性別喫煙歴飲酒歴PPI服用歴胸やけ症状の有無内視鏡的逆流性食道炎の分頚には有意蓬は認めなかった.【績論】本研究から本邦ではパレット食道やパレット食道腺癌の頻度は欧米に比較し未だ少ないことが判明した.また食道胃接合部腺癌(パレット食道腺癌を含む)についてtype l+Hはtype mと臨床像は異なり前者はLSBEの臨床像と類似することが明らかとなった. |