セッション情報 シンポジウム2

消化管stem cellの新たな展開 基調講演

タイトル

S2-2 単一幹細胞からの大腸上皮大量培養と細胞移植による大腸上皮再生

演者
共同演者
抄録 体外培養技術の開発を契機とし腸管上皮幹細胞研究が急速に進んでいる.今後は腸管上皮幹細胞の体外維持技衝に加えこれら細胞を利用する応用技術に期待が集まっている.我々はこれまでに多くのヒト疾患で傷害をうける大腸上皮に焦点をあてて研究をすすめた結果マウスおよびヒトの正常大腸上皮細胞の体外培養を可能とする新しい技術を開発した.この方法では正常な大腸上皮細胞が非上皮細胞なしに無血清培地で3次元的に継代操作を経て長期にわたり培養できることが明らかとなった.次に我々はただ一個の大腸上皮幹細胞から大腸上皮細胞を体外で大量に増やしこの培養細胞を用いて移植実験をおこなった.移植後短期における解析の結露体外培養を経た大腸上皮細胞が傷害部位の欠損上皮を補充し粘膜修復に寄与しうることを初めて明らかにした.さらに移植後長期経過後の解析でドナー由来細胞が移植片内において幹細胞として機能することを明らかにし組織再生能.を保持する上皮幹細胞培養とこれによる細胞移植が単一の幹細胞を初発材料としても技術的に可能であることを見いだした本研究成果は近年開発が進みつつある腸管上皮の体外培養技術が研究ツール・体外診断ツールとしてのみならず組織幹細胞の大量培養に続く細胞移植治療の資源として有用であることを示した点で重要と考える本シンポジウムではこれらの成果を提示し内視鏡検体を用いるヒト大腸上皮幹細胞の利用技術についても議論したい.
索引用語