セッション情報 シンポジウム3

C型慢性肝炎の新たな治療展開

タイトル

S3-2 インターフェロン治療の難治性に関与する宿主因子の検討:抗インターフェロン抗体について

演者 榎本平之(兵庫医科大学内科肝・胆・膵科)
共同演者 松田二子(兵庫医科大学内科肝・胆・膵科), 西口修平(兵庫医科大学内科肝・胆・膵科)
抄録 【目的】C型慢性肝炎に対する標準療法はPEG-IFNとリパビリン(RBV)の併用であるが1型高ウイルス量でのSVR率は50%程度に留まる.最近PEG-IFN+RBV+プロテアーゼ阻害薬(PI)の3剤併用療法が可能となったが標準治療でNu皿responder(NR)であった症例における治療成績は十分とは言い難くPEG-IFN +RBV治療における難治要因の検討は依然重要である.今回は宿主側因子の検討として抗IFN中和抗体の意義を検討した.【方法】検討1:当科にてPEG-IFN+RBVを投与した129名の血清について航IFN一α抗体を測定した.測定にはSindbis virus感染による且細胞の細胞障害をIFNの抗ウイルス活性で回避する実験系を期いた.human recombinant IFN一α2a一α2bβと共に患者血清を添加しIFNの抗ウイルス活性が患者血清によって阻害される程度を定量化して中和抗体を測定した.検討2:IFN一α治療に対してNRであった83例について中和抗体を測定した.【結果】検討1:129日中82例の症例がEnd-oRreatmellt response(ETR)となったがETR症例では抗IFN-ct抗体は1例も検出されなかった.一方でNRの47例では7例(15%)に抗体が検出された.検討2:抗IFN一α抗体陽性を疑って測定した83例のNR症例のうち12例で抗体が検出された.検討1と2で抗体が検Mlされた19例には、HCV genotype 2f3や几28B major holnoといった治療反応性良好と考えられる症例も含まれていたが全例がNRでありt中和抗体が治療抵抗性をもたらした可能性が考えられた.なお抗IFN一α抗体陽性症例の血清はin vitroでIFN一・βの活性は阻害せず臨床経過でもPEG一・FN-ct+RBVでNRの症例で工FN一β+RBVに変更し’てETRが得られた例が存在した.【結語・考察I PEG-IFN+RBV無効例の一部に中和抗体陽性例が存在し治療効果減弱の一因となることが示唆された今回の検討において中和抗体陽性例は他の因子が治療反応性良好でもNRとなっており抗体の存在は3剤併用療法でも難治要因となる可能性も考えられる.
索引用語