セッション情報 シンポジウム4

肝細胞癌集学的治療の現況と再発予防

タイトル

S4-1 非環式レチノイド投与に伴う肝組織遺伝子発現変化と肝線維化・発癌抑制機構

演者 本多政夫(金沢大学消化器内科)
共同演者 岡田光(金沢大学消化器内科), 金子周一(金沢大学消化器内科)
抄録 【目的】肝細胞癌は根治治療後の5年再発率が80%と高く再発予防法の確立は重要なテーマである.非環式レチノイド(ペレチノイン)は肝細胞癌の再発を抑制することが報告され国内第∬加相試験が終了した.現在追加試験が予定され治療効果の検証が期待されている.今回ペレチノインの薬物動態臨床試験においてペレチノイン投与症例の肝組織の遣伝子発現変化を解析したまたマウスモデルでペレチノインの作用機序の解析を行った.【方法】手術またはラジオ波で根治的治療が得られた12症例の肝細胞癌症例に300mg及び・600rngのペレチノインが投与され投与前と投与.8週後の肝生検を得た、肝組織遺伝子発現の変化と臨床試験期間2年間の再発の有無との関連性を検討した.またペレチノインの作用機序をPDGF-Cトランスジェニックマウス(PDGF-C-Tg)を用いて解析した.1成績】投与前の肝組織遺伝子発現と治療効果との関連性は認められなかったが投与8週後の肝組織遣伝子発現は肝細胞癌の再発と密接に関連していた再発例ではPDGF-Cをはじめとする血管新生因子線維化関連因子癌遺伝子の発現が非再発例に比し有意に上昇していた.PDGF-C-Tgは生後4週から著名な肝線維化24週で肝細胞癌を発症した.ペレチノイン投与により容量依存性に肝線維化及び肝細胞癌の発生を抑制した.ペレチノイン投与群では線維化マーカーであるcolla-gen 1ab及びPDGFRα/β発現の顕著な減少が認められたまた血管新生及びWnt/betaTcateninシグナルの減少を認めた.ペレチノインは初代星細胞肝癌培養細胞のPDGFRα/βの発現を直:接抑制した.【結論】ペレチノイン投与に伴う肝組織遺伝子発現は肝細胞癌の再発と密接に関連していた.ペレチノインはPDGIFシグナルを直接抑制し.肝線維化・血管新生を抑制することにより肝細胞癌.の再発を抑制していることが明らかとなった
索引用語