セッション情報 シンポジウム4

肝細胞癌集学的治療の現況と再発予防

タイトル

S4-5 肝細胞癌集学的治療の現況と再発予防―外科医の立場から

演者 久保正二(大阪市立大学肝胆膵外科学)
共同演者 竹村茂一(大阪市立大学肝胆膵外科学), 上西崇弘(大阪市立大学肝胆膵外科学)
抄録 【目的】肝細胞癌(肝癌)治療後の再発には転移再発と多中心性再発がありこのうち転移再発には癌進行度と癌治療法が多中心性再発にはB型肝炎やC型肝炎などによる併存肝疾患が重要な役割を果たしている.さらに最近脂肪性肝炎や糖尿病などの生活習慣病が肝発癌の危険因子となることが指摘されている.そこで根治術施行例における治療成績から肝癌再発予防策について検討した.【対象と方法】対象は当科において根治術が施行された肝癌症例で、その術後成績から転移再発および多中心性再発を考慮した再発予防策を検討した.【結果】肉眼的脈管侵襲(Vp)陰性単発かつ3.lcm以上肝癌例の無再発生存率を検討すると75歳未満術前TACE施行系統的切除および非肝硬変が無再発生存に寄与する因子であった.背景因子からみるとtB型肝炎関連肝癌例では血清HBVDNA高値は肝癌再発危険因子であった.高ウィルス量症例のうち核酸アナログ非投与例に比較し核酸アナログ投与例の無再発生存率は高値であったまた低ウィルス量例では系統的切除電脳聡性(5㎜)が無価生存に寄与する因子であった.C型肝炎関連肝癌例においてインターフェロン(IFN)有効例の無再発生存率はIFN無効例および非施行例のそれらに比較し高値であった.またIFN治療によるSVR後肝癌切除例では系統的切除や切除断端陰性が無再発生存に寄与する因子であった.非B非C肝癌例では切除断端陰性が無再発生存に寄与する因子であった.Vp陰性かつ一単発のC型肝炎関連肝癌例において糖尿病非併存例と制御良好な糖尿病併存例の無再発生存率に差はみられなかったが糖尿病制御不良の糖尿病は肝癌再発危険因子であった.【結論】肝癌治療後の再発予防には肝癌進行度や併存疾患を考慮した肝癌治療法の選択を含めた総合的治療戦略が重要である、
索引用語