セッション情報 シンポジウム4

肝細胞癌集学的治療の現況と再発予防

タイトル

S4-6 両葉多発肝細胞癌に対する経的肝灌流化学療法を軸とした集学的治療

演者 木戸正浩(神戸大学肝胆膵外科)
共同演者 福本巧(神戸大学肝胆膵外科), 具英成(神戸大学肝胆膵外科)
抄録 (はじめに)第18回全国原発性肝癌追跡調査報告では腫瘍個数5個以上のTACEの成績は1生49.8%3生19%5生8.9%でありこれを凌駕する治療が必要とされる.また治療後の再発予防として確立された治療は存在しない.(目的)両葉多発肝癌に経皮的肝灌流化学療法(PIHP)を軸とした集学的治療と再発高リスク群に対するadjuvant PIHPについて報告する.(対象と方法)1989年6月から2010年12月までに当施設で行ったPIHPは194例であり今回は非切除及び再発HCCの75例(単独群)図葉多発HCCの切除後残肝病変に対し行った71例(Dual群)再発高リスク群に対しadjuvantPIHPを行った23例(adjuvant群)を対象とし検討した.(結果)局所制御効果は単独群では奏功率が47%にとどまったのに対しDua1群では70%に達した.またDual群にエントリーした84例の生存率は1年68%3年30%5年23%でありMSTは21ヶ月と良好であった.さらに完遂できた71例では生存率は1年72%3年35%5年27%でありMSTは24ヶ月と非常に良好であった.これに加え最近では主要肝静脈根部の高度腫瘍圧排・浸潤例や肝部下大静脈の高度腫瘍圧排・浸潤例に対しTまずPIHPを先行させ抗腫瘍効果が認められるや否や減量切除しさらに術後再びPIHPを加える新たなる戦略も始まり現在8例がエントリーしている.また術後の腫瘍径5cm以上血管侵襲断端陽性被膜浸潤衛星結節のいずれかを満たす再発高リスク症例に対しadjuvant PIHPを23例に行ったところ1生96%3生87%5生78%と極めて良好な成績であった.(結語)減量肝切除を先行させることで、 PIHIPの残肝病変に対する強力な局所制御力が有効となり両葉多発HCCに対する中一長期予後の改善を計りうる集学的治療である.また再発高リスク群にadj uvnt PIHPは非常に有効であることが示唆された.
索引用語