セッション情報 シンポジウム4

肝細胞癌集学的治療の現況と再発予防

タイトル

S4-10 分子標的治療

演者 奥坂拓志(国立がん研究センター中央病院肝胆膵腫瘍科)
共同演者
抄録 我が国における肝がん患者数は減少傾向にあるものの依然がん死亡順位の第5位を占めておりtまた国際的にも患看の数は多く重要な疾患である.多くの患者は局所療法後も肝がんが再発進行して死亡していることから有効な薬物療法の開発が必要である.最近分子標的治療薬であるソラフェニブが進行肝がんに対して統計学的に有意な延命効果を複数のランダム化比較試験において示し進行肝がんに対する標準治療薬と考えられている.癌細胞中の特異的遣伝子変化が分子標的薬の治療効果と強く関連することが報告されているがん腫もあるがソラフェニブの肝がんにおける効果にはこのような明らかな報告はなされておらず本疾患における分子生物学的な増殖機序のさらなる解明が新しい分子標的薬開発には重要と考えられる.現在肝がんに対しては多くの分子標的薬の臨床試験が進行中である.第3相試験段階の治療薬としては一次治療としてソラフェニブと他の薬剤(エルロチニブ等)との併用やソラフェニブに変わる他の薬剤(ブリバニブリニファニブ等)の評価が進められているまたソラフェニブ不応または不耐例を対象とした二次治療の開発としてはブリバニブエベロリムスラムシルマブなどの第3相試験が進行.中である.またTACEと併用し開発が進められている薬剤としてプリバニブオランチニブなどの第3相試験が進められている.さらに早期試験段階では肝がんを対象として非常に多くの薬剤の開発が進められており近い将來これらの薬剤が肝がんの標準治療薬となることも期待されている.今後の肝がんに対する新しい分子標的薬開発には増殖に関わる遺伝子変異の解明や患者選択に役立つバイオマーカーの解析などが成功の鍵となる可能性があり研究の成果が待たれている.
索引用語