抄録 |
【目的】京都府立医大とその関連施設からなる京都肝癌分子標的治療研究グループでは肝細胞癌に対する分子標的治療の多施設共同研究を行っている、当グループにおけるSorafenib治療の有効性と安全性に関して解析・報告を行う.【方法1115例の肝細胞癌患者にSorafenibの投与を行った.男性94例女性21例.開始時年齢の中央値は71歳(22歳~91歳)T進行度はStage3が58例Stage4Aが15例. Stage4Bが42例であった.背景肝はC型肝炎が61例B型肝炎が22例その他・原因不明が32例であった.【結果1Sorafenib治療を選択した理由はTACE不応が56例肝外病変の存在が42例t脈管浸潤が25例であった(重複含む).投与期間の中央値は77日(2日~750日)で1日平均投与量の中央値は444mgであった.投与開始容量は800mg/日.が78例800mg/日未満が37例であった.800mg/日で治療を開始した81%で1か月以内の休薬または減量が必要になつ.た。全生存期間(OS)の中央値は323日であった. modified RECIST基準による抗腫瘍効果はCR 2例PR6例SD12例PD43例で病勢コントロール率は3L7%であった. Grade3以上の有害事象は29例で頻度の多いものは手足症候群9例高血圧6例倦怠感5例皮疹4例であった.観察期間中の死亡は52例で35例が肝癌の進行7例が肝不全10例がその他の原因であった.生存期間に関わる治療前因子はPS肝外転移PIVKA2の異常値であった.【結論】全生存期間はSHARP試験とほぼ同等であった.重篤な有害事象は高血圧や倦怠感が多く下痢が少ない傾向にあった.今後さらに多数の症例で検討を続けていく必要がある. |