セッション情報 シンポジウム5

膵胆道癌の早期診断

タイトル

S5-2 胆管癌におけるカルシウム結合蛋白質S100P発現の診断的意義

演者
共同演者
抄録 【月頭】胆管癌は早期診断が困難な消化器癌である胆管癌の発生には炎症の関与が示唆されており炎症性狭窄と癌性狭窄の鑑別は早期診断に重要である.本検討では膵臓癌において高頻度に発現がみられるカルシウム結合蛋自国SlOOPの胆管擦過細胞診検体および胆管生検検体における発現レベルの評価が両者の鑑別に有用であるかについて検討を行った.【方法1当科において2007年4月から2010年3月までに胆管狭窄に対して診断的ERCPを施行した85例(胆管癌60例良性胆道狭窄25例〉について検討を行った.擦過細胞診検体中のS100P mRNA発現レベルはrea1-time PCR法にて生検検体中のSlOOP発現レベルは免疫染色にて評価した.擦過細胞診検体中S100P mRNA発現レベルのcut-off値をROC曲線にて決定し従来の細胞診と診断感度・特異度を比較した.また胆管癌手術検体組織41例を用いてSlOOPの免疫染色を行い発現の確認を行った.【結果】胆管癌擦過細胞診検体のS100P発現レベルは良性胆道狭窄の擦過細胞診検体に比較して有意に高値であった.ROC曲線からSlOOP相対発現レベル0.041以上を陽性と定義した.擦過細胞診による胆管癌の診断感度は56.7%であり特異度は100%であったがSlOOP発現レベル単独では感度833%特Pttw 92.0%であり細胞診との組み合わせでは感度90ρ%特異度92.0%まで感度が改善した.細胞診で胆管癌と診断できなかった26例中t20例はSlOOP発現レベルにより診断可能であった.同様に組織診とSIOOP免疫染色の組み合わせによっても感度が改善した.手術検体でのS100P発現は41例中31例に認めた.【結論】S100Pは良性狭窄での発現は稀であり胆管癌において高発現していた.S100Pは魍管癌鑑別マーカーとして有用であり細胞診陰性胆管癌や持続的な炎症を背景とした発癌の早期診断に有用と考えられる.
索引用語