抄録 |
【目的】糖尿病(DM)は膵癌早期発見の糸口として期待されてはいるが患者数が多いためスクリーニングのためには更に高危険群を絞り込む必要がある【方法】〈1)対象は東京大学消化器内科でユ993年11月から2011年1月までに診断した膵癌540例。無症状であるが新規DM発症や既往DM増悪を契機に発見されたDM関連診断群と黄疸や腹痛などその他の診断契機で発見された群とで予後を比較した.1(2)朝日生命成人病研究所に通院中のDM患者で1999年3月過ら2011年5月まで.に膵癌合併を診断された40例と無作為に選択されたDM発臼後に悪性腫蕩合併のない120例を比較し膵癌合併の危険因子と徴候を検討した.1結果11(1)DM合併率は48%で発症2年以内のNew~onset DMが59%であった. DM合併の有無では膵癌の予後に差を認めなかった。DM関連診断群は7%(新規DM発症3%既往DM増悪4%)と少数だがその他診断契機群に比べて有意に予後が良好だった(生存期間中央値202か月vs. 12.2か月P=O.03)(2)膵癌群のDM発症時年齢には40~45歳と60~65歳の2つのピークを認めた.55歳を境にEarly-on・set DMとLate-onset DMに分類するとEarly-onset DMでDM発症から膵癌診断までの期間が長く(26年vs.9年P<0.01)2年以内の膵癌診断は認めなかった(0%vs. 33%P〈ODI).多変量解析の結果Early-onset DMではDM家族歴(オッズ比[OR〕360P=0.04)とインスリン使用(OR 352P=O.05)がLate-on-set DMでは。 DM発症聴年齢(OR IJ2P〈0、01)と複数人のDM家族歴(OR 6.13Pニ0.03)が有童な危険因子であったまた膵癌診断から過去に遡って調べるとDM両タイプとも発症の12か月前から体重:減少とDMコントロールの増悪が認められ膵癌の徴候と考えられた.【結論1新規DMの発症や既往DMの増悪に着目して無症状の膵癌を診断できれば予後の改善につながる.DM患者においては発症時年齢に応じた危険因子により高危険群を更に絞り込み膵癌の徴候を見逃さずに画像検査を施行することが早期発見に有用と考えた. |