セッション情報 シンポジウム5

膵胆道癌の早期診断

タイトル

S5-8 定期検査中に通常型膵癌を合併したIPMN症例から考えられる膵癌早期診断法

演者
共同演者
抄録 【目的】分枝型IPMN症例に合併した通常型膵癌の定期画像所見を遡及的に検討し膵癌早期診断の手掛かりとなる所見を明らかにする.【対象と方法1初診時にERCPを含む画像検査を施行し1年以上の定期検査を施行した分枝型IPMN 132例を対象とした.平均観察期間は73年で内訳は男牲85例女性47例で平均年齢67.8歳であった.そのうち、CTMRCPEUSによる定期的な画像検査中に通常型膵癌を合併した症例について検討し膵癌早期診断への手掛かりとなる検査法と所見について考察した. ・ltw果1膵癌の発生は10例(7.6%)に認められた.男性7例女性3例平均年齢72.8歳膵癌発生までの期間は平均7年間あった.膵癌の発生部位はIPMNの頭側4例尾側6例で平均腫瘍径23.5mmであった.診断契機となった検査は造影CTが9例PETが1例であった、直接所見である腫瘍の描出は全例で得ら.れており主膵管拡張やIPMN増大などの間接所見は2例にみられた.EUS.による腫瘍評価は全例で可能であった.我々がIPMNを通常型膵癌の高危険群と強く認識するようになった2005年を境にするとそれ以前に診断された膵癌5例はJPS stage IVa 4例IVb 1例であったのに対して最近の5例では皿3例IVa 2例で外科切除率は25%から75%へと上昇した.初診時ERCPでの膵液細胞診施行例で異常を認めた症例はなかった.客観的検討の可能なCT検査を遡及的に見直した結果10例中4例で膵癌診断の6~10か月前の検査で先行病変と推定される淡い造影効果を伴う異常病変を指摘できた、残.りの6例では12~15か月前に施行された検査での評価となり異常の指摘は困難であった.【結論】膵癌の高危険群である分枝型IPMN症例を慎重に定期検査することによって外科切除可能な段階での膵癌を診断しうることが示された.膵癌の早期診断には造影CTまたはEUSによる定期画像検査を4~6か月ごとに施行し膵実質の軽微な変化をとらえることが診断契機になると考えられた.
索引用語