セッション情報 シンポジウム5

膵胆道癌の早期診断

タイトル

S5-10 膵癌の早期診断における内視鏡的経鼻膵管ドレナージ(ENPD)留置下膵液細胞診の有用性

演者 飯星知博(JA尾道総合病院内視鏡センター)
共同演者 花田敬士(JA尾道総合病院内視鏡センター), 平野巨通(JA尾道総合病院内視鏡センター)
抄録 【目的1ENPD留置下膵液細胞診断の有用性を検討し膵癌の早期診断成績の向上を図る1対象・方法】平成19年以降に当院でENPDを留置後一晩かけて膵液細胞診を複数回施行し画像と病理の比較検討もしくは経過観察が可能であった38症例を対象に各種臨床・病理学的因子を後ろ向きに検討した.ENPDを留置する基準として主膵管狭窄症例もしくは膵嚢胞を有する症例とした。【結果】症例は男性24例女性14例で年齢は50歳~86歳(平均70.8歳).計48回ENPDを留置(男性4例は2回ずつ.女性1例は4回.1例は3回1例は2回留置).内訳は主膵管狭窄:19例膵嚢胞:11例主膵管狭窄+膵嚢胞:8例.38例中19例で陽性(classlVV)と診断し18例が手術を施行された(1例は手術予定).陽性症例19例中15例は膵管造影時にも細胞診を行ったが陽性と診断されたのは8例であった一方.ENPD留置下膵液細胞診の陽性率は初回68.4%(13/19)2回目6&4%(13/19)3回目4L2%(7/17)4回目46.7%(7/15).t5回目5&3%(7/12)6回目28.6%(2/7)で初回もしくは2回目の細胞診で比較的高率に検出された.また手術症例18例中8例は上皮内癌1例はPanIN-2と診断された. ENPD留置後の膵アミラーゼはIPMNを疑ってENPDを留置した症例は4時間後平均235.31U/1翌朝平均591.3 IU/1でありIPMNが疑われなかった症例(4時間後平均172.41U/1翌朝平均27L31U/1)と比較して上昇する傾向を認めた.【結論】1ENPDにより複数回の膵液採取を行うなどの工夫が膵上皮内癌および微小膵癌の発見には重要と考えられた.2膵液細胞診陽性であっても手術標本でPanlN-2と診断された症例が存在し慎重な診断が必要と思われた.3.ENPD留置後特にIPMN症例において膵アミラーゼは上昇する傾向を認め粘液による膵液欝滞の可能性が示唆された。
索引用語