セッション情報 シンポジウム6

ゲノムワイド検索(GWAS)と消化器疾患 基調講演

タイトル

S6-4 C型肝硬変・肝癌に関連するゲノムワイド検索

演者
共同演者
抄録 面的】C型肝炎ウイルス(HCV)感染から肝硬変肝癌(HCC)への進展には著しい個人差がある.このような肝病態進展の個日差には一塩基多型(SNP)に代表される宿主因子が深く関与している.今回C型肝炎における肝硬変・肝癌に関わるSNP.につきゲノムワイド関連解析(GWAS)を試みた.【方法】1}C型肝硬変関連SNP:まず肝硬変682例慢性肝炎943例につきイルミナチップ(約43万SNP)によりGWASを行った.次に.抽出したSNPにつき別コホートである肝硬変936例、慢性肝炎3.914症例にて追試を行った.2)C肝癌関連SNP:まず肝癌721例HCV陰性コントロール21890例につきイルミナチップによりGWASを行った.次に抽出したSNPにつき別コホートである肝癌673例コントロー・ル2596例にて追試を行った.【結果】1)C型肝硬変関re SNP:まずGWASにてpく1x10“を示す10SNPを同定した.追試の結果6p213領域に含まれる2つのSNPがp=2.4 x 10’lb=98×10.llと強く肝硬変と関連していた(オッズ比は1.45.と138)これらSNPはHLA-DRB1の発現と関連して肝硬変の発症に関与する可能性が示唆された.2}C型肝癌関連SNP:まずGWASにてp<1x工O’5を示す8SNPを同定した追試の結果MICA遺伝子の5’ブランキング領域のSNPがp=421 x lO’nと強く肝癌と関連していた(オッズ比は1.39).しかもMICA遺伝子SNPのリスクアレルは血中の低MICA濃度と有意に(p=138×iO’t3)関連していた.本SNPはNK細胞の標的分子であるMICAの発現と関連して肝癌の発症に関与する可能性が示唆された(Nat Ge皿et 2011)1結論】GWASにて同定したこれらSNPはC型肝硬変化・肝発癌のバイオマーカーとして有望のみならず肝硬変化・肝発癌メカニズムの解明に有用でありこれら遺伝子を標的とした新規治療法の開発につながると期待される.
索引用語