セッション情報 シンポジウム6

ゲノムワイド検索(GWAS)と消化器疾患 基調講演

タイトル

S6-7 SNP-CGH解析による消化管癌におけるゲノムワイド検索

演者 佐伯浩司(九州大学大学院消化器・総合外科)
共同演者 掛地吉弘(九州大学大学院消化器・総合外科), 前原喜彦(九州大学大学院消化器・総合外科)
抄録 【背景1近年のsingle nucleotide polymorphism-comparative genomic hy-bridization(SNP-CGH)の開発によりDNAコピー数の異常などこれまでは検出不能であった癌のさまざまな遺伝子異常の実態がゲノムワイドで解明されはじめた【目的1SNP-CGHによるゲノムワイド検索に基づいて消化管癌におけるp53遺伝子異常の特徴を明らかにする.【方法】食道扁平上皮癌切除標本91例と食道扁平上皮癌細胞株10株を対象としたp53遺伝子変異はダイレクトシーケンス法にて解析しLOHはp53遺伝子近傍の2つのマイクロサテライトマーカーを用いて検討した.さらにLOH解析としてCGHfluorescence in situ hybridization(FISH)SNP-CGHを行った.【結果】1. p53遺伝子変異とLOHの関係:切除症例において血53遭伝子変異を42例(462%)LOHを47例(51.6%)に認めた. p53遺伝子変異症例では高頻度(73.8%)にLOHを伴っていた(p<αOl).2. LOHのメカニズムに関する検討:細胞株10株中4株においてp53遣伝子変異を認めたがすべてにおいて野生型シグナルが変異シグナルに置換されていた.CGHにより遺伝子コピー数を解析したが明らかなコピー数変化を認めなかった.F工SHを施行したところp53遺伝子変異を伴うLOHの85.7%がコピー数変化を伴わないLOH(コピーニュートラルLOH)であることが明らかとなった.さらにSNP・一CGHにて解析したところ染色体不安定性がコピーニュートラルLOHの原因であることが示された.【結語】食道癌ではp53遺伝子変異およびコピーニュートラルLOHが癌発生の重要なメカニズムであることが示唆された現在胃癌大腸癌においてもSNP℃GH解析を行っておりtそれぞれの癌で特徴的な異常がとらえられている.それらの新たな知見とともに報告したい.
索引用語