抄録 |
【目的】膵癌は代表的な難治癌のひとつでありその予後はいまだ不良である.近年塩酸ゲムシタビン(GEM)やS-1などの抗癌剤の:登場により治療成績向上を認めるが決して十分なものではない.われわれは切除不能進行膵癌患者を対象として治療部に採取した生検検体を用いar-ray-based comparative genomic hybridization(aCGH)によるDNAコピー数の網羅的解析を行い個別化治療の構築を目指す試みを行っている.本発表ではこの取り組みにつき報告する.【方法コ化学療法前の切除不能進行膵癌患者よりEUS FNAにより生検組織を採取・凍結保存を行いオリゴチップゲノムアレイ(アジレソト・テクノロジー HumanGenome CGHマイクロアレイ4x44k)を用いたDNAの網羅的解析を行った.【成績】これまで35例(GEM+S-1療法14例GEM療法21例〉にaCGH解析を施行した針生検の検体であってもlpg程度のDNA抽出は可能であり全症例でaCGHによるゲノム解析が可能であった.コピー数の変化としてlp3p9p17p18q.19p20p.22qの領域にIossを1q19pの領域にgainを認めた.これらの変化のうちlp3p9p17p18q19p22qの10ssは過去にも報告される染色体異常であり.生検検体を用いた本検討においても評価可能であった.また癌抑制遺伝子であるSMAD familyおよびP16の10ssを各々約60%の症例に認めた化学療法によりPRを7例(GEM+S-1療法4例GEM療法3例)に認め全症例の生存期間中央値は288日であった.【結論】生検検体を用いた本検討においてもaCGHによる網羅的ゲノム解析は評価可能であった.本発表では抗腫瘍効果などの臨床的因子との関連を検討し報告する. |