セッション情報 シンポジウム7

地域から発信する消化器診療

タイトル

S7-1 地域での12年間の追跡調査でわかった逆流性食道炎435例の長期経過

演者
共同演者
抄録 【目的1逆流性食道炎は再発を繰り返しやすく時に幽血などの重篤な合併症を来す.わが国では2000年からPPI長期投与が可能となったしかしながら地域医療の場でPPI長期投与の意義を検証した報告は少ない.【方法1広島県北部の医療圏として閉鎖された高齢化の進んだ(入口8018人高齢化率42%)町内唯一の病院で過去12年間(1997年一2008年)の上部消化管内視鏡のべ9720件の内視鏡検査を解析し逆流性食道炎と連続して診断した435例(平均年齢は667士149歳男性234例)の長期経過を検討した.【結果】内視鏡所見(LA分類)は軽症(A.B)328例(75.4%)重症(CD)107例(24.6%)であった.併用薬剤はCa拮抗薬30B%(134/435)NSAIDs 21.1%(92/435)抗血小板剤20.2%(88/435)で器質的疾患のないコントロール群に比べ有意に高率であった(P<O.001)重症例では軽症例に比べNSAIDs抗血小板剤の使用頻度が有意に高かった(P〈0.001’).治療継続2四例中203例(86.0%)ではPPI治療が選択されていた、合併症は13。1%(57/435)で認められた(出血41例狭窄15例パレット食道癌1例).2000年以降重症例合併症例が有意に減少した(P〈O.05).内視鏡で経過観察できた275例中27例(9.8%)で逆流性食道炎の再発を認めた.うち22例はPPI治療黙止(10例は老健施設入所や寝たきり後)が原因であった. PPI継続例では重症の逆流性食道炎および薬剤による上部消化管粘膜障害のいずれも発症していなかった.死亡76例中消化管出血パレット食道癌などの逆流性食道炎関連死亡はなかった.【結論1高齢者逆流性食道炎ではNSAIDsアスピリンを含む抗血小板剤の内服例が有意に多く発生とともに重症化にも関与していた.PPI長期治療を受けた者に逆流性食道炎関連死亡はなく合併症(出血狭窄パレット食道瀬)及び薬剤による上部消化管粘膜障害を予防していた.
索引用語