抄録 |
我々はESD診療を議題とした東北地方を中心とする若手の意見交換会に参加している.各施設の現状や課題を意見交換し各自の診療の糧としているがこの集まりを母体に共同検討も行えてきたためt今回これを報告する.大腸ESDにおいては手法の安定化が検討課題と考えてきたが切離操作に大きな内視鏡操作を必要としないハサミ型ナイフは術者の技量に左右されにくくこの課題の解決策に寄与するものと考え開発検討を行った.前述会の参加者を中心に東北各県を物心とした大学病院や関連施設等の医師に呼びかけをして研究会形式で開発検討会議を開催した.小林らの開発したSBナイフをもとに設計変更等の検討を行いSBナイフJrタイプ(住友ベークライト社製)として市販に至った2009年10月一一2010 “ 3月の閥同ナイフを用いてESDを施行した大腸腫瘍性病変102病変を東北地方中心のi1轍から登録いただき議した.一一・一括晶晶100%平均切除脚3mm士1a1㎜平均術時閥弘2士35.1分穿孔1例を認め緊急手術を要した事例は認めなかった.当時名人と言われる術者の報告でも平均術時間.は1時間を切るものは多くなく東北地方の多施設でも新処置具の併用により従来の結果に劣らない結果が得られた.今回の検討においては同一診療内容で苦労を持つ医師間から共通議題を通して意思疎通が図られ新しい処置具開発とその実際の検討がなされた.互いに目の前の患者を通じた共通の問題意識を持ち自由な意見交換を行いながら同じ目標に向かって解決策を模索する環境が整いt前述のような結果を得ることができたものと考える.また研究会の開催や解決策を実現するための周囲の支持も重要な要素であった.今後も、患者のために何ができるのかという医療の原点と、医師間で自由に議論できる環境が東北地方の消化器診療をさらに発展させる要素の一つとなるものと期待している. |