抄録 |
【目的1E型肝炎ウイルス(HEV)は1型から4型までのgenotypeに分類され日本土着株は3型と4型である3型の中でもヨーロッパ型の遺伝子配列をもつ日本土着株によるE型肝炎の発生は稀である我々は三重県でヨーロッパ型のHEVによるE型肝炎の発生が多いことに着目し三重県で発生したE型肝炎を調査するとともに今後の三重県でのE型肝炎発生状況を詳しく調査する基幹病院間のネットワーク樹立を目的とした.1【方法】患者個人情報守秘に細心の注意を払いつつ保健所にE型肝炎発生の届け繊のあった地域の基幹病院医師とE型肝炎発生状況について情報交換を行った.また三重県内21の基幹病院に文書にてE型肝炎発生調査ネットワーク樹立に向1けての協力を要請した.【成績1三重県では2004年から2011年10月末までに16例のE型肝炎が保健所へ届け出された.E型肝炎発生調査ネットワークへの協力を依頼した三重県内基幹病院21病院のうち18病院の協力が得られ三重県ほぼ全域でのE型肝炎発生調査ネットワーークが発足した.基幹病院医師間の情報交換では17例のE型肝炎の発生が確認できた.このうち詳細な臨床経過や感染していたHEVのgenotypeを解析できたのは11例であった.11例中genotype 4は1例のみでgenotype 3は10例で、さらにそのうち8例は遺伝子配列か酷似した日本土着のヨーロッパ型HEVであった.三重県E型肝炎発生調査ネットワークによりさらに症例が集まりつつある【結論1三重県では遺伝子配列が相互に酷似したヨーロッパ型genotype3HEVによるE型肝炎が2004年目ら2011年まで持続して発生しておりこの地方特有の風土病と言えるかもしれない.同一感染源が疑われるが今のところ不明である.E型肝炎のように発生が稀な疾患に対しては同一地域の医師同士が協力し合い情報を共有して感染源の特定に努力しt今後の発生防止に努めることが重要である |