セッション情報 シンポジウム7

地域から発信する消化器診療

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S7-7 地域全住民を対象にスクリーニングされたB型肝炎の長期予後

演者
共同演者
抄録 【スクリーニングと母児問感染対策】当地区の肝癌SMRは男215女149(平成11~14年)と不良である.このような背景から肝炎ウイルススクリーニングを早期から始めた.全住民を対象にIBsAgスクリーニングは1978年より開始.2007年3月までに象』136名が受診(人口2.5萬人)陽性者1453例(genotype C:92%)陽性率4.3%と高率だった.当地区では母児間感染対策として1979年HBIG1980年HBVワクチンを早期に導入したことで80年代出生者の陽性率が0.5%に激減。1991年以降の出生者では陽性者を現在まで確認できない.HBV高浸淫地域においてほぼ撲滅を果たしている.またHBs抗体もスクリーニングしたがB型肝炎ではない一般住民若年層(10~30才)のHBs抗体陽性率はワクチン導入により14%から3%に低下.母児間感染対策によるHBVキャリア数減少で高二丁地区に居住する一般住民への水平感染リスク機会が抑制されたと考えられる.【自然経過】HBe抗体陽転・肝機能正常に至る臨床的治癒率を検討.観察開始時20才未満群は年率4%35才までに累積100%治癒となった.ところが35才時HBeA拷陽性群でば年率1%へ低下また治癒に至ってもその半数が肝硬変に進展していた、以上より20才未満HBeAg陽性キャリアへの治療介入は不要だが35才以上でHBeAg陽性では積極的治療介入の検討が必要である.【HBsAg自然消失様式と発癌】 HBe抗体陽転・肝機能正常化した臨床的治癒に至った症例におけるHBsAg自然消失率は年率1%. H脱Ag自然消失した170例において消失から平均10年の観察期間において3例の発癌例に遭遇したがうち2名はHCV重感染例でHBV単独は1例のみだった.発癌率はアルコール性肝硬変(nニ70)よりも有意に低かった(10年累積発癌率3%vs. 11%).【最終転帰】B型肝炎の最終転帰と総死亡率を一般住民C型肝炎と比較して検討中.【まとめ】地域におけるスクリーニングから始まった医師・患者(住民)関係が最終転帰まで継続したことで長期間に及ぶ「人とHBVの関わり合い」を検討することができた.
索引用語