セッション情報 シンポジウム7

地域から発信する消化器診療

タイトル

S7-8 C型肝炎ウイルスキャリアのコホート研究からみた肝発癌予後

演者
共同演者
抄録 【目的】C型肝炎のテーラーーメード医療を圏指すためには宿主側およびウイルス側因子の知見を集積していくことが不可欠である.HCV感染者の自然経過についてはこれまでいくつかの研究成果が報告されているがそのほとんどは病院コホートである一方C型肝炎高浸淫地域におけるHCVキャリアを対象とした長期コホート研究は感染自然史を知りうる貴重な分子疫学研究であるがt自然経過予後についての報告は少ない.我々は1991年目り自治体と連携してC型肝炎島浸淫地域においてHCV RNA陽性者をコホー一 F追跡しておりこれまでHCV自然治癒の頻度や自然治癒に関わる宿主因子について報告してきた.今回は20年の追跡調査をもとに一般住民の肝炎コホートにおける肝発癌予後について検討したJ【方法1C型肝炎高二二地域住民7925名におけるHCV抗体陽性率は13%(1.078名)でありうちHCV RNA陽性率は78%(846名)であった.年一回アンケート調査と血液検査を行いHBs抗原陽性例やインターフェロン治療例を除いた454人(平均66β±9.4歳)を検討対象としたまた逐年検診受診巷全員を対象に腹部超音波検査を行い肝発癌率を算出した.さらに多変量解析にて発癌に寄与する因子を解析した【結果】経過観察中58名の肝発癌が確認された内訳は遺伝子型1bが69%2bが26%であり2aからの発癌は認めなかった.人年法による発癌率の検討では1000入年あたり平均5.1人(男性8.5人女性3.5人)であった.ALT値60]V/L以上および30-601U/しの群で有意に肝発癌が見られ多変量解析では男性遺伝子型1bおよびALT値が肝発癌に寄与する因子であった.【結謝肝炎多発地域におけるHCV長期コホート研究から自然経過における肝発癌予後が明らかとなった発癌防止には治療によるHCV排除と肝炎沈静化が重要であることが示唆され今後も地域に根ざした研究からC型肝炎診療に役立つエビデンスを発信できればと考えている.
索引用語