セッション情報 シンポジウム8

臓器線維化(肝・膵を中心)研究・診療の最前線

タイトル

S8-2 肝線維化に伴うosteopontinの発現と血清値の有用性

演者 野村友映(金沢医科大学消化器内科学)
共同演者 George Joseph(金沢医科大学消化器内科学), 堤幹宏(金沢医科大学消化器内科学)
抄録 【目的10steopOntin(OPN)はmUlnfunctional matricellUlar proteinとして骨成長がん浸潤、あるいは血管増生に重要な役割を果たすことが知られているが肝線維化に関する役割については明らかでない.そこで今回OPNが肝線維化にどのように関与するかを明らかにするためにN-nitrosdimeth-lamin(NDMA)投与による肝線維化ラットモデルを用い肝線維化に伴うOPNの発現状況をみるとともにヒト肝組織においても同様に検討した.またT血清OPN値が肝線維化を反映するか否かについても検討することとした.【方法】Wistar系雄性ラッ1・.にNDMAを4週間投与し、肝線維化ラットを作成した.NDMA投与後6週目に屠殺しホルマリン固定後の肝組織をHEとAzan染色を行うとともにOPNおよびα一SMAを免疫組織化学的に染色した.また肝生検を施行し得たB型あるいはC型の慢性肝炎60例(F1F2およびF3それぞれ20例)と肝生検で診断した肝硬変患者20例を対象にt肝組織におけるOPNの発現状況を免疫組織化学的に染色するとともに血清OPN値をELISAにより測定した.【成績】NDMA投与によりラット肝に偽小葉形成が認められたがt肝線維に一致してα一SMA陽性細胞が認められた.OPNはα一SMA陽性細胞に主に染色されたが毛細胆管細胞にも一’部染色されたヒト肝組織においてもほぼ同様の所見が認められOPNの染色性は肝線維化の進展に伴い強くなった血清OPN値はF1が631±110F2が905±128F3が1533±337F4が1982±454 ng/m1であり各群間でいずれも有意(P〈0001)の差が認められた.【結語】活性化肝星細胞にOPNが発現し肝線維化の進展とともez OPNの発現が増加したことからOPNは肝線維化に強く関与していることが示唆された.また血清OPN値は肝線維化の進展に伴って増加し線維化の程度との間に有意の差が認められことから血清OPN値は有用な線維化マーカーになり得ると考えられた.
索引用語