セッション情報 シンポジウム8

臓器線維化(肝・膵を中心)研究・診療の最前線

タイトル

S8-3 肝線維形成過程におけるMatrix Metalloproteinase-2の機能的意義

演者 柿沼晴(東京医科歯科大学消化器内科)
共同演者 坂本直哉(東京医科歯科大学消化器内科), 渡辺守(東京医科歯科大学消化器内科)
抄録 【目的】MatriX Metalloproteinase(MMP)の活性は発現量や活性化プロセスその抑制因子であ.るTIMPとの相亙作用によって厳密に制御されているまたMMPは細胞外マトリックス以外にも様々な炎症性メディエーターをも基質としており個々のMMPは異なった機能を示す.今回我々は肝線維形成過程におけるMMP-2の機能を検討するためMMP-2欠損マウス及びMMP-2の活性化を担うMMP-14のヘテロ欠損マウスに対して四塩化炭素(CC14)慢性投与及び胆汁うっ滞による肝線維化を惹起し、線維化に関わる因子を解析した【方法】MMP-2欠損マウス(MMP-2ヲー)及び同腹の野生型(MMP-2 + /+)マウスを用いたMMP-14ホモ欠損マウスは生後2-3週目死亡するためMMP-14ヘテロ欠損マウス(MMP-14+/一)と同腹の野生型(MMP-14+/+)マウスを用いた.これらに対してCC14慢性投与モデルではCC14を週2回12週聞投与して解析した胆汁うっ滞線維化モデルでは総胆管結紮術(BDL)を施行し14日目に解析した【成績】cCI4慢性投与モデルにおいてMMP-2-/一マウスはMMP-2+/+マウスと比較して肝線維形成の促進と肝αSMAの蛋白量上昇を認めた同様にMMP-14+/一マウスはMMP-14+/+マウスと比較して肝線維形成の促進と肝αSMAの蛋白量上昇を認めた.MMP2一/一マウスは1型コラーゲンTGFβ. PDGF receptorのmRNA発現量及びTIMP1蛋白量。肝MMP14蛋白量が増加し星細胞活性化が可融していた.BDLモデルにおいてはMMP2一ノーvウスは有意な線維形成促進を認めた一方で肝a浴MA蛋白量に変化なかった。しかし肝TIMP1のmRNA発現と蛋白量はCC14モデルと同様に有意に増加していた.【結論】2種の肝線維化モデルにおいてMMP-2及びMMP-14の活性が線維化を抑制することが示された.MMP-2は肝におけるTIMP1産生抑制に重要であることが示されMMP-2を介したシグナルがTIMP1産生を制御することが示唆された.
索引用語