抄録 |
【目的】肥満や内臓脂肪蓄積という個体の晶質過剰状態では肝臓へ異所性に脂肪が蓄積し脂質過酸化の増大から炎症線維化が生じNASHが進展する.我々はヒトの脂質過剰病態に近いlipotoXic NASHモデルを作成しその進展機構を明らかにしてきた.今風NASH病態の上流にあると考えられる過剰な脂質過酸化が肝線維化に与えるインパクトを明らかにするため抗酸化剤によるlipひtoXic NASHモデルの進展抑止効果とその機序を解析した.抗酸化剤としてinvitroにおいてビタミンEの約500倍の抗酸化作用を有する天然カロチノイドアスタキサンチン(AX)を用いた【方法】7週齢雄のC57/BL6Jマウスに高コレステロール高脂肪食(CL)O.02%AX混餌CL食(CL+AX)、標準食(NC).α02%AX混餌NC(NC+AX)をi2週間投与した.肝病理組織インスリン感受性脂質過酸化能炎fi ・ストレスシグナルを経時的に評価した.【結果】CL群の肝臓では食餌負荷8週後にTBARSを指標とした脂質過酸化が充進し脂肪化と炎症を12週後に線維化を生じた.CL群.はNC群に比し高インスリン血症を呈しインスリン抵抗性を合併するNASHモデルと考えられた. AXはCL群の肝臓における申性脂肪含量を38%減少させ過酸化脂質の蓄積およびインスリン抵抗性を改善した.活性化星細胞の指標であるα一SMAの陽性細胞数と遺伝子発現はCL群で増加しAXにより減少した. CL群では肝臓のTGF一βcollagen 1のmRNA発現とhydroxyproline含量は各15倍6倍生3倍増加しAXは各28%35%24%低下させ肝線維化を抑制した(p〈0.05). AXによりCL群め肝ではIRβ・Aktのリン酸化増加からインスリンシグナルは充進しJNK:・p38MAPK NFicBのリン酸化低下から炎症・ストレス応答の減弱を伴っていた.【結語】Lipotoxic NASHモデルでは過剰な脂質過酸化から肝インスリン抵抗性とストレス応答が惹起され炎症・線維化が促進する. |