抄録 |
(目的)ヒト膵癌は線維が豊富でありそのことが化学療法の治療抵抗性に寄与している.腫瘍内線維化を改善することで治療効果の向上を図るべく遺伝子改変膵発癌マウスモデルを用い解析を行った.(方法)マウスモデルとしてPtflac「ef’;LSL-Krasci2nt’ :Tgfbr2隔鰍を使用した.このマウスでは豊富な線維化を伴った分化型膵腺管癌が100%に生じ約8週目癌死する.これに分子標的薬Axitinib(以下A)およびAngiotensinH受容体拮抗薬(ARB)Candesartan(以下C)の単剤投与およびGemicitabineとの併用投与を行った.抗腫瘍効果生存期間の検:討を行い線維化の評価をαcSMA染色Azan染色で行うと共にCD31F4/80の免疫染色を行った.マウス膵晶晶のVEGF. VEGFR2PDGFPDGFRβTGF一β1MCP-1につき解析した.マウス線維芽細胞を用いたin vitroでの検討も合わせて行った.(結果)A群c群ともに腫瘍縮小がみられ生存期間は有意に延長していた.またAおよびC併用群ではGemicitabine単独群に比べて生存期聞が有意に延長していたA群C群ともに微小血管密度およびマクロファージの浸潤が低下していたことに加え腫瘍内線維化が有意に低下していた.A群ではVEGFVEGFR2PDGFPDGFRβがC群ではTGF一β1MCP-1がコントロール群に比べ有’意に低下しておりこれらが線維化の改善に寄与するものと考えられた.またPDGF-BBおよびAn-9iotensinll:投与で増殖がみられたマウス線維芽細胞はそれぞれAxit-inibおよびCandesartan投与で有意に低下していた.(結語)分子標的薬やARBを用いた腫瘍内線維化を含む腫瘍微小環境の改善がGem-citabineを用いた膵癌治療効果の向上に寄与するものと考えられた. |