抄録 |
【背景】慢性膵炎臨床診断基準の項目の1つに特徴的な組織所見が挙げられている.しかし臨床の現場において膵生検による組織診断はほとんど行われておらず早期の段階で診断することは困難であった慢性膵炎の診断基準改定に伴い早期慢性膵炎の定義が新しく提唱されたがその診断には超音波内視鏡検査が不可欠であり必ずしも患者への侵襲がないとは言えない.一方以前より慢性膵炎により膵線維化が進行すると膵血流量が低下することが報告されている.【目的】ペルフルブタンを使用した膵造影超音波検査を用いて非侵襲的に膵線維化の程度を間接的に評価し早期慢性膵炎および慢性膵炎の病期診断が可能となるか検討した.【対象と方法】対象は2010年8月から2011年10月までに当科で慢性膵炎臨床診断基準2009により診断した慢性膵炎群7例早期慢性膵炎群7例対照群7例.平均年齢はそれぞれ56±8歳63±5歳および54±23歳であった.ペルフルブタンを静注後HITACH:1社製Preirmsを用い上腸間膜動脈と膵実質の時間輝度曲線(timeintensity curve:TIC)から傾きを算出しその比(上月間膜動脈/膵実質)を対照群早期慢性膵炎群および慢性膵炎群で比較した.【結果】対照群早期慢性膵炎群および慢性膵炎群の平均TIC比はそれぞれ1.23±0261.62±O.26および2.62±026であり慢性膵炎の病期と進行とTIC比の間には相関がみられた(r=O.63p言0.0024).また対照群早期慢性膵炎群と比較し慢性膵炎群において有意に平均TIC比が高値であった(pニO.OO13p = O.0132).しかしながら対照群と早期慢性膵炎群では有意差はみられなかった1結語】ペルフルブタンを用いた膵造影超音波検査により非侵襲的に慢性膵炎の病期診断を行え膵線維化の評価が可能となることが示唆された. |