抄録 |
【目的】慢性膵炎(CP)は膵腺房細胞の脱落と小葉間線維化を特徴とする. CPの治療を考えた場合炎症の結果としての線維化を抑制または線維化を減少させることが幽来れば慢性膵炎に対して根本治療となると考えられるが未だそのような治療法はない.最近自己免疫性膵炎(AIP)ではステロイド(PSL)治療により線維化が減少し膵組織再生が起こることも明らかとなってきている.しかしなぜAIPの線維化は可逆性でALCPは非可逆性なのかについては知られていない。本研究では、アルコール性CP(ALCP)とAIPの線維化を比較検討’することで膵の線維化の特徴について明らかにすることを目的とする.【方法】CP(n=21)及びAIP(nニ9)に対して膵機能評価のためセクレチン試験(ST)を複数回施工し膵機能の推移を評価したALCP及びAIPの手術標本及びAIPのPSL治療前後の膵生検標本を解析した.線維化はHE染色及びマッソントリクローム(MT)染色法で評価した.膵星細胞のマーカーとして抗Pesmin抗体マクロファージマーカーとして抗CD163抗体を用いて免疫組織化学染色法を行った.【結果】STでCPでは膵機能の回復は殆ど認めなかったがAIPでは治療によ.り著明に膵機能が回復していた.AIPの線維化はALCPの線維化と違いMT染色で染色が軽度であった治療後のAIPでは線維化の面積は優位に減少しており代わりに腺房細胞の再生を認めた.AIPの線維化にはDesmin+細胞やCDI63+細胞を認めたことからAIPの線維化では活性化膵星細胞や炎症細胞の関与が疑われた. ALCPではdesmin+細胞やCD163+細胞はAIPに比べ少ないことからALCPの線維化はAIPの線維化よりも終末像を観察していると考えられた.【結論】ALCPの線維化はAIPの線維化と違い炎症細胞や活性化隠紋胞の関与が少なくt非可逆的な線維化と考えられたCPでは。一旦鳳来上がった線維化を治療するのは困難と考えられるのでより早期に治療的介入を行い線維化の進展を軽減する治療法の開発が重要と考えられた. |