セッション情報 シンポジウム9

疾患モデル動物を用いた消化器病研究の最前線

タイトル

S9-4 膵腺房細胞のSTAT3/PAP1経路は急性膵炎において防御的に働く

演者 重川稔(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学)
共同演者 巽智秀(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学), 竹原徹郎(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学)
抄録 【背景/目的】STAT3は増殖因子やサイトカインなどの細胞外刺激を細胞内.に伝達する働きに加え細胞の生存増殖炎症血管新生などに関わる遺伝子の発現調節や他の転写因子の制御などを行う重要な蛋白である.動物モデルにおいて膵炎早期から膵STAT3のリン酸化が認められることが知られているが急性膵炎におけるSTAT3の役割は未だ不明な点が多い我々は膵特異的STAT3ノックアウト(KO)マウスを作製し急性膵炎モデルにおける膵STAT3の意義につい.て明らかにすることを目的とした.1【方法1STAT3 floxed(STA T3th’a)マウスとPdxlCreトランスジェニックマウスを交配させ膵特異的STAT3 KO(sTA T3anptixlcre)マウスを作成したコントロールは同腹のSTA T3n’nマウスとした.膵炎モデルはセルレイン(50μ屡kg)を1時間.ごとに計8回腹腔内投与しこれを2日間施行するモデルを使用した.最終投与から3時間24時間後に検体を採取し組織学的生化学的評価を行った.【結果]セルレイン急性膵炎モデルにおいてSTAT3 KOマウスではコントロールマウスに比し血清アミラーゼリパーゼの.ヒ昇広範な膵壊死炎症細胞浸潤を強く認め膵炎の有意な重症化が認められた.またコント回一ルマウスでは急性期蛋白であるpaacreatitis-associated protein 1(PAP1)が膵において強く発現していたがSTAT3 K:0マウスではその発現が完全に消失していた.そこでPAP1のfUll-lengthcDNAを組み込んだプラスミドDNAをマウス尾静脈よりhydrodynamic injection法にてPAPIを発現させたSTAT3 KOマウスにセルレイン反復投与により膵炎を発症させると膵壊死血清学的所見t炎症細胞浸潤がPAPIを発現させていないSTAT3 KOマウスと比し有意に改善することが明らかとなった.【結論】セルレイン急性膵炎においてPAP1は膵STAT3依存的に分泌され炎症細胞浸潤を伴う膵壊死に対して保護的に働くことが示された.
索引用語